研究課題/領域番号 |
25862099
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
會津 桂子 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (90436014)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 看護教育 / 思考 / 学習 |
研究実績の概要 |
研究目的:看護学生を対象とした新規に考案した思考・判断力育成プログラムを実施し、育成プログラム実施前後の思考・判断力を定量的に評価することで、新規の教育プログラムの有効性を検討する。 1.平成26年度の目的:平成25年度の結果を受け、目的(1)を追加した。(1)看護学生の、臨地実習前後のアセスメント能力および知識構造を調査し、臨地実習前後のアセスメント能力及び知識構造の変化を評価する。(2)平成25年度に考案・精査した新規の「思考・判断力育成プログラム」を学生に対し実施し、評価する。 2.目的(1)の実施状況:対象;A大学看護学専攻3年次学生17名。データ収集および分析;①自由再生課題、②用語分類課題、③アセスメント課題を実施し、①②より、カテゴリー体制化尺度であるARCS得点を求めた。また、③より、アセスメント能力を対象者個々に分析した。結果; ARCS得点は臨地実習後に有意に上昇していた(p<0.01)。 3.目的(2)の実施状況:対象;A大学看護学専攻2年次学生78名のうち、参加同意の得られた学生48名。思考・判断力育成プログラムの実施および分析:認知カウンセリングの手法を参考にし、研究者5名で検討した介入プログラムを、20名の学生に個別に実施し、実施前後の学生のアセスメント能力及び知識構造を分析した。今後は28名についても同様に実施していく。 4.考察:情報の記憶の際は、既存の知識と関連付けて保存することで記憶しやすく、想起しやすいため、知識が高度に構造化されているほど既存の知識と関連させやすく、記憶・再生がしやすくなると考えられる。本調査より、学生は臨地実習の体験後には知識がより構造化されることが示唆された。知識が構造化され臨床場面においても想起されやすくなると、臨床場面でのアセスメント能力が向上すると考えられる。今後は、臨床場面において知識が想起されやすくなるような知識の獲得方法を教授し、その効果を精査していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨地実習後の看護学生の知識構造およびアセスメント能力に関する示唆が得られた。これらの資料は、看護学生の、臨床場面における既有の知識を用いたアセスメント展開能力の向上を支援する介入プログラムの考案において有効な資料となった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの本研究の成果より、看護学生が新たな知識を学習する際は、既存の知識と関連付けて学習するなど、知識をより構造化する学習方略を用いることで、問題解決の際に効果的に知識を活用できることが示唆された。その示唆を基に、平成26年度は学習者の知識や思考、学習過程の認識に注目した思考力育成のための介入プログラムを考案し、一部の対象学生へ実施した。今後は、全ての対象学生に対し介入プログラムを実施し、介入前後および介入実施の有無による比較を行い、介入プログラムの有効性を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度は学習者の知識や思考、学習過程の認識に注目した思考力育成のための介入プログラムを考案し、一部の対象学生へ実施した。参加希望学生数が、当初の予定よりも大幅に多いため、未実施の学生へは平成27年度に実施し、介入効果を評価するため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度使用予定のものを併せて、平成26年度に実施した教育介入の継続、その効果の精査のための費用に充てる。
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