研究課題/領域番号 |
25862109
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
種田 ゆかり 三重大学, 医学部, 助教 (00444430)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | たんの吸引 / 経管栄養法 / シミュレーター / 看護技術 |
研究実績の概要 |
たんの吸引や経管栄養法は、小児から高齢者まで幅広い年代に実施され、介護職も一部実施することが可能になった身近な技術であるが、難易度も高い。また、身体侵襲性が高く苦痛が強いため、倫理的配慮・安全面を考慮する必要があり、実際に人体で練習することができない。そのため、これらの看護行為や介護行為をシミュレーターを通して学ぶことは重要である。 昨年度実施した看護師へのアンケート調査の分析結果をもとに、今回の目的であるたんの吸引、経管栄養法の両方が実施できるシミュレーターの企画(試作)案を作成した。その後、たんの吸引と経管栄養法の演習ができ、一体型にもなる既存のシミュレーターが存在することがわかった。しかし、やはり高額で実践的な演習を実施する上で必要な個数を確保することは困難であった。そのため、基礎資料と既存のシミュレーターを参考に新たにシミュレーター案を作成し、製作にむけて進めていたが、シミュレーターの重要ポイントとコスト面の調整が難しく、再検討中である。シミュレーターの詳細については、現在進行中のため明記できないが、高額な既存のものとは違うタイプを検討中である。 看護教育の現場だけでなく、介護の現場でのたんの吸引や経管栄養法の実践のあり方が、シミュレーターを用いた演習の重要性に影響する。たんの吸引や経管栄養法を実際に実施している介護の現場では、ヘルパー研修が進んでいない。しかし、たんの吸引、経管栄養を必要としている患者はたくさんいるという現実から、実地で個別の対応をしていることが考えられる。その場でその場で状況に応じて訪問看護師が指導している現状がある。そこで、たんの吸引・経管栄養法の成功例から、なぜ成功したのかを考えることも視野に入れて今後の研究をすすめていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度実施した看護師へのアンケート調査の分析結果をもとに、シミュレーターの具体案を検討し、試作品の完成を目指していた。しかし、高額ではあるがたんの吸引・経管栄養法の両方が実施できる一体型になる既存のシミュレーターが存在した。そのため、再度、基礎資料と既存のシミュレーターを参考に企画案を作成し、試作に向けて進めていたが、シミュレーターの重要ポイントとコスト面の調整が困難で、再検討中である。試作品作製にも費用がかかることを踏まえて、慎重かつ丁寧に検討を重ねてきたが、今後の展開を考慮するとさらに十分な検討が必要なため、当初の計画より少し遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、再検討中のシミュレーター企画案を実現可能なものに見直し、試作品の完成を目指すとともに、試作品の完成後は協力の得られたモニター(看護教員、看護師、学生)に官能検査を実施したい。官能検査から、実施上の問題点や改良点、良かった点などの分析・評価を行う。また、実際の医療現場や介護現場で、たんの吸引や経管栄養法がどのように実施されているのか、介護者がどのように手技を習得しているのか調査し、実際の現場の状況を把握したい。そのうえで、シミュレーターを使用しての技術演習の重要性や介入方法、実践力向上のための方策を検討したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度、基礎資料をもとに試作品を作製し、改良を重ねてシミュレーターの完成を目指す予定で企画案を作成した。しかし、シミュレーターの重要ポイントと作製におけるコスト面の調整が難しかったことや、高額ではあるが既存の一体型になるシミュレーターが存在したことから、再検討中である。そのため、当初の計画より遅れている。シミュレーターの試作、製作には費用がかかるため、次年度使用額が生じている。
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次年度使用額の使用計画 |
今後は、シミュレーターの重要ポイントを踏まえたうえでコスト面も考慮した企画案を再検討し、シミュレーターの試作、完成を目指したい。シミュレーターの構造や材質、改良に費用がかかるが、できるだけ安価なシミュレーターになるよう検討する。
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