研究課題/領域番号 |
25862110
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
辻本 朋美 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00510885)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 静脈穿刺技術 / 留置針 / 血管アセスメント / 看護学生 |
研究概要 |
点滴などの静脈穿刺技術への新卒看護師の困難感を減らすため,看護学生のうちに適切に静脈に触れて認識する能力を獲得し,模型に対してプラスティックカニューレ型滅菌済み穿刺針(以下、留置針)を操作できるようになることを目的とした研究である。看護学生の静脈触知能力が学生自身や他者の皮静脈を触知する自習により向上するかどうかを,無作為に割り付けた自習する群(介入群)と自習しない群(対照群)との比較により検証している(有意水準1%)。 初年度は4年制看護大学1施設の4年生16名(介入群8名,対照群8名)を対象に調査を行った。アンケート(リッカート法)による主観評価では,対応のあるT検定により比較したところ,「留置針穿刺のための血管アセスメントを実施できますか」「留置針穿刺の操作を実施できますか」の項目で,介入群は対照群よりも自習後の技術の到達度向上が有意に大きく,また「臨床現場における採血について、現在の率直な気持ちをお聞かせください」「臨床現場における留置針穿刺技術について、現在の率直な気持ちをお聞かせください」の項目で,介入群は対照群よりも自習後の不安軽減効果が有意に大きいという結果であった。 留置針穿刺に適した血管を選択しているかは,血管可視化装置StatVeinを照射して表皮下10mm以内の血管を描出した画像により,蛇行や途中分枝があり留置針長分の直線が得られないものを「走行が不適切な血管」を選択したと判定して評価した。試行回数による不適切な血管選択の比率の変化(χ2乗検定)では,介入群においては1回目12件/40件(30%),2回目2件/40件(5%),3回目1件/40件(2.5%),対照群においては1回目13件/40件(32.5%),2回目3件/40件(7.5%),3回目1件/40件(2.5%)と,試行による有意な改善がみられたものの,自習による効果は明らかとならなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度,16名の看護学生が参加し,計240件の選択血管データが得られた。当初計画では学生のスケッチをもとに血管走行を判定する予定であったが,血管可視化装置の導入により目に見えない血管(深さ10mmまで)の走行を描出することが可能となり,血管走行の画像を分析対象とすることができた。このことで客観的な「走行」の評価が可能になった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度4年生を対象とした調査により,学習効果の再現性を検証する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
購入を予定していた高機能ビデオカメラをレンタル使用することができたため,初年度の支出が少額となった。 同じくレンタル利用した血管可視化装置StatVein購入等に使用する。
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