点滴など静脈穿刺技術に対する新卒看護師の困難感を減らすため、4年制看護大学在学中に「静脈に適切に触れて認知する」能力を獲得することを目的とした研究である。看護学生の静脈触知能力が、学生自身の前腕皮静脈や他者の前腕皮静脈を触知する自己学習により向上するかどうか、無作為に割り付けた自己自習群(介入群)と自己学習をしない群(対照群)との比較により検証している。初年度16名(介入群8名、対照群8名)と翌年度18名(介入群9名、対照群9名)の結果を統合し、介入群と対照群とで比較した。 アンケート(リッカート法)による主観評価では、「留置針穿刺のための血管アセスメントを実施できますか」の項目で、介入群は対照群と比較して有意に技術が向上していた(pair-T検定、グループ比較;F=5.98,P=0.02)。また、介入群は対照群よりも静脈穿刺技術に対する不安軽減効果がみられた。 客観評価である選択した静脈の血管径(平均)の比較では、介入群の自習前/自習後/自習1週間後がそれぞれ2.3㎜/2.4㎜/2.5㎜、対照群が2.4㎜/2.5㎜/2.5㎜であり差がなかった。そこで、選択した血管が熟練看護師の選択と一致したかどうかを検討したところ、介入前は介入群10件/40件(25%)と対照群7件/40件(17.6%)、介入後1回目が23件/40件(57.6%)と19件/40件(47.6%)、介入後2回目が20件/40件(50%)と15件/40件(37.6%)であり、回数を重ねることの効果はみられるものの、自己学習による有意な効果はみられなかった(Pearsonカイ2乗検定)。
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