研究課題/領域番号 |
25862113
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
首藤 英里香 札幌医科大学, 保健医療学部, 講師 (90336412)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 看護技術教育 / 動作分析 / 看護学生 |
研究実績の概要 |
本研究では、より効果的・効率的な技術教育の実現を目指して動作分析が可能な看護技術の抽出と分析方法の検討を行う。 本年度は、体位変換・移乗介助時の動作について小型動作分析装置を用いて行う客観的評価を取り入れた教育的介入を看護学生7名に実施した。研究対象者である学生は、ベッド上に仰臥位で臥床している患者役を①手前側へ水平移動し、②長座位から、③端座位へ、④車椅子への移乗介助を行った。 動作姿勢の計測は8チャンネル小型無線モーションレコーダを使用して、腰部の前屈角度および膝関節の屈曲角度を測定した。動作終了後、計測された腰部前屈角度のデータは動作角度計測ソフトウエアを使用してグラフ化した。また、体位変換および移乗介助動作の実施状況を動画撮影した。研究者は対象者と一緒にグラフおよび動画を確認して、腰部に負担の少ない動作の指導を行った。実施期間は4つのセッションに分け、①ベースラインⅠ期(BL1):教育的介入直前、②介入期(I):教育的介入実施時、③ベースラインⅡ期(BL2):介入期翌日、④ベースラインⅢ期(BL3):介入期1ヶ月後と設定した。それぞれのセッションで3回ずつ移乗動作・体位変換を行い身体角度の計測を行った。 データ収集の結果、腰部前屈角度の平均値がベースラインⅠ期に比べて介入期に低下した学生が3名、上昇した学生が4名であったが、全体の平均値としては、ベースラインⅠ期に比べて、介入期・ベースラインⅡ期・Ⅲ期でやや低下していた。腰部屈曲角度の最大値はⅠ期から時間経過に伴い低下している傾向がみられた。学生への質問紙調査では、「自己の動作に関する具体的・客観的な理解」「既習内容の振り返りの機会」「姿勢改善への意識化」「より良い援助への意欲」などの記載があり、客観的評価を取り入れた教育的介入の効果が窺われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度に作成したプログラムを用いて測定した角度のグラフ化を試みたが、計測直後に表示することが困難であったため、別のシステムを使用することとした。角度変換システムやグラフ化への検討段階で時間を要したため、データ収集の時期が遅れてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、収集したデータの分析をより深め、客観的評価を取り入れた教育的介入による動作姿勢の改善効果および課題を明らかにし、成果を発表していく。今回の研究では当初の予定とは異なり対象者を看護学生に限定したが、学生の動作の特徴および教育的介入の効果・課題を明らかにすることで効果的な技術教育の示唆につながると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗状況が遅れていたため研究費を繰り越している。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度はデータ分析をさらに進め、成果の発表および論文投稿を予定しているため、繰り越し分はその経費に使用する予定である。
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