今年度は昨年度に実施した質問紙調査の分析を行い、マインドフルネス・アサーション研修の効果について評価した。質問紙調査は、研修の実施前、6回の研修終了直後、フォローアップ時(6回の研修が終了した2ヵ月後)の3時点で行った。(インタビュー調査は協力者が集まらず、1名のみに実施した為、今回は参考資料とした。)調査内容は、基本属性(年齢、性別、経験年数、勤務形態、職種など)、日本語版POMS(気分の状態)、K6日本語版(精神的健康度)、日本語版MBI-GS(バーンアウト)、職業性ストレス簡易調査票(一部)、日本語版UWES(ワーク・エンゲイジメント)、研修参加の感想(自由記載)であった。分析の対象は、プログラムに参加した1病院の看護師9名のうち、6回の研修に全て参加した7名とし、分析方法は、反復測定一元配置分散分析を用いた。分析対象者は全て女性、平均年齢は32.86(±7.67)歳、平均看護師経験年数は、10.29(±7.76)年であった。分析の結果、「精神的健康度」、バーンアウト尺度の「職務効力感」、ワーク・エンゲイジメント尺度の「活力」、「上司のサポート」においては、測定時点による差がある傾向があった。(各時点ごとの多重比較では、職務効力感以外は有意ではなかった。)それ以外の測定項目は有意な差はなかった。研修後に、「精神的健康度」は改善の傾向、「職務効力感」は低下の傾向、「活力」は増加の傾向、「上司のサポート」は低下の傾向があった。研修の感想の自由記述を分析したところ、「瞑想による気持ちの安定」「他者への思いやりの増加」「今の自分の呼吸や感情への気づき」「自分で出来る役立つ方法への気づき」「話しやすい雰囲気でのメンバーとの共有」などのカテゴリーが生成された。対象者が少なく限界はあるが、マインドフルネス・アサーション研修は、看護師のメンタルヘルスの改善に役立つ可能性が示唆された。
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