研究課題/領域番号 |
25862123
|
研究機関 | 聖路加国際大学 |
研究代表者 |
倉岡 有美子 聖路加国際大学, 看護学部, 助教 (30584429)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 胃瘻造設 / 患者の家族 / 意思決定支援 / 満足 |
研究実績の概要 |
<質問紙調査の実施と分析結果> 研究者が作成した意思決定支援ガイドを入手して、患者に代わって胃瘻造設の有無を決定した家族の決定に対する満足度とその要因を明らかにすることを目的とした。専用Webサイトを見てガイドを入手した、または医療者からガイドを手渡された後に決定した家族を対象とした。ガイドを送付する際に、1回目の質問紙(決定直後用)を同封し、返送のあった家族を対象に2回目の質問紙(決定の半年後用)を送付した。 1、2回目両方の質問紙に回答した者は、患者45人(平均年齢84.1歳)の家族45人(平均年齢62.1歳)であった。患者との続柄は、実子24人、配偶者11人、義理の子5人、その他5人であった。患者に胃瘻造設することを決定した家族は20人だった。半年後に死亡していた数は、胃瘻造設群(20人)は5人、非胃瘻造設群(23人)は7人であった。決定した半年後の家族の後悔の程度と満足度をそれぞれ従属変数として、1変量の分散分析を行った。家族と患者の属性を独立変数に加え、交互作用の確認を行った。後悔の程度を従属変数とした場合、家族が患者の実子のほうが、実子以外の群と比べて後悔の程度が低く(p<.01)、決定直後の葛藤の低い群のほうが高い群と比べて後悔の程度が低かった(p<.01)。患者の性別と生存の有無で交互作用がみられた。従属変数を満足度とした場合、非造設群のほうが造設群より満足度が高かった(p<.05)。葛藤の低い群のほうが高い群と比べて満足度が高かった(p<.01)。交互作用はみられなかった。後悔の程度と満足度において、患者の生存の有無、医療者へ相談の有無、医師から推奨する選択肢の提示の有無による差はなかった。 <研究結果の重要性> 本研究により、決定した半年後に、後悔の程度が高い、または満足が低い家族の特徴が明らかとなり、特に支援を必要とすることが分かった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
修正した意思決定支援ガイドを使用して、患者に代わり意思決定した家族(n=45)を対象に、継続的に調査し、決定した半年後に下した決定に対する後悔の程度と満足度を評価することができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、症例数を増やして分析を行う。研究結果を、日本老年医学会学術集会(2015年6月)にて発表する予定である。研究結果をまとめ、学術学会誌への投稿を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
質問紙回収に伴う郵送費の予測が立たなかったため、慎重に科研費を使用したため。
|
次年度使用額の使用計画 |
質問紙の郵送と回収に関する費用に使用する。
|