【平成25~27年度】 (1)修正した意思決定支援ガイドの普及 第一に、第55回日本老年医学会学術集会でガイドを配布した(50部)。第二に、平成25年5月にガイドを紹介するホームページ(胃ろうの意思決定支援サイト)を開設した。サイトより無料でガイドをダウンロードできるよう設定した。第三に、朝日新聞(2013年7月12日夕刊2面)に本研究に関する記事(サイトのURLを含む)が掲載された。この後、アクセス数が17000件を超え、ガイドのダウンロード数が7800件を超えた。また、ガイドの郵送を希望する患者本人、患者の家族、医療者に約700冊を郵送した。(2)ガイドを使用して意思決定した家族を対象とした前向き調査 研究者が開設したサイトを見てガイドを入手した、または医療者からガイドを手渡された後に決定した家族(45人)を対象とした。決定した半年後の家族の後悔の程度と満足度をそれぞれ従属変数として重回帰分析を行った。従属変数を後悔の程度とした場合、主効果として、胃瘻造設の有無(p<.01)、決定直後の葛藤の程度(p<.001)がみられ、非造設群のほうが、造設群より後悔の程度が低かった。葛藤の低い群のほうが高い群と比べて後悔の程度が低かった。半年後の後悔の程度には、胃瘻造設の有無、決定直後の葛藤の程度が影響していた。 【平成28年度】 (1)開設したサイトより郵送希望した患者の家族と医療者の合計22名にガイドを送付した。(2)研究結果をまとめ、国際老年医学誌である「BMC Geriatrics」に投稿した。査読者からの指摘を受けて追加の分析を行った。具体的には、患者が胃瘻造設に関する自分の意思(胃瘻造設を希望するか否か)を伝えられるか否かを従属変数に加えて、独立変数である半年後の家族の決定に対する後悔の程度への関連を重回帰分析にて検証した。その結果、有意差は認められず関連はみられなかった。
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