本研究は、看護師全体の7%と少数者である男性看護師のワーク・ライフ・バランス(WLB)実現および男性の子育ての関わり推進・男性の育児休業(育休)取得促進に寄与するものである。 ■最終年度の課題遂行状況 1)WLBに対する希望と現状および関連要因を、男性看護師440名への質問紙調査から分析した。2)育休取得および子育ての実態と関連要因を、0~12歳の子を持つ男性看護師154名への質問紙調査から分析した。3)未就学児を持つ男性看護師6名に子育てへの考えや関わりについてインタビューを実施した。4)WLB実現に向けた職場づくりへの提案を行うため、看護管理者や男性看護師と意見交換を行った。 ■男性看護師のWLBの希望と現状に関する研究結果 1)仕事・家庭・個人の生活をみな優先したいと希望しながらも実際は仕事優先の者が多く、希望と現実の隔たりがある。WLBの認知度は32.2%だった。2)満足度への影響要因は「職員が働きやすい職場づくりに取り組んでいる」「自由に話し合える職場環境である」「勤務表は個人の希望が叶う」であった。3)WLB実現のためには、WLB意識の向上や超過勤務削減、仕事以外の時間の充実、価値観や生活背景に合わせた支援が重要である。 ■育休取得および子育ての実態に関する研究結果 1)育休取得経験者は13名(8.4%)であり期間は1か月未満が半数を占めた。2)育休取得の促進要因は、育休取得に対する肯定的な意識や育休後に休業前と同等の地位・職場に復帰できる職場環境である。3)育休取得の阻害要因は職場の環境・雰囲気、経済的理由、業務の多忙さ、前例が無いこと等による周囲の反対、制度の認識不足であった。4)子育てに関わる時間は平均2.2時間/日であり、末子年齢や性別役割分担意識の低さにより時間が長くなる。5)男性看護師が自身の希望に沿って仕事と子育てを両立するには、互いの考え方を肯定できる職場風土の醸成、育休中の収入の保障や人員の確保が必要である。
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