本研究の目的は、出産育児を理由に退職する看護師を対象にした働き続けるための支援に加え、子どもの成長発達を見越して、雇用形態や勤務時間、夜勤の有無、勤務場所、仕事内容など様々な視点から多様な働き方を提示し、個人の置かれた状況に応じて最も適切な働き方を提案できる雇用システムの構築を図ることである。 文献検討の結果、実際に働いている看護師、特に非常勤看護師、短時間正職員を対象とした実態調査を行った。その結果、雇用形態によって性役割や成長欲求度には有意差は認められなかったが、職務の内容を示す職務特性は常勤が非常勤に比べ有意に高く、職務満足は、業務量・勤務シフト・看護業務以外の職務の下位項目が大きく影響し、非常勤が常勤に比べ、有意に高いことが分かった。 さらに近畿圏内の病院で働く看護部責任者を対象とした調査では、出産育児を理由に退職する看護師はほとんどいないことが分かった。働き続けるための支援については、病床規模を問わず、看護管理者の面接を通して個人レベルでの調整を図っていることが明らかとなった。調整の内容は多岐にわたっており、今後、個々の事例を質的にまとめ、最も適切な働き方を提案できる雇用システムを検討していく予定である。
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