平成28年度は、臨床看護師の職場におけるソーシャル・キャピタルの尺度原案を作成するために、尺度原案の内容的妥当性を検証した。 まず、平成26年度に実施した面接調査で得られた、臨床看護師の職場におけるソーシャル・キャピタルに関するラベル133項目について、重複項目の整理や表現の適切性について検討した。 次に、尺度の内容が目的とした構成概念を十分に反映していることを確認するために、臨床看護師、看護管理者、看護管理学領域の研究者と尺度原案の適切性について意見交換を行い、専門的立場からの助言を得た(内容妥当性の検証)。専門家の助言から得られた項目を追加し、49項目からなる尺度原案を作成した。 尺度原案は6因子構造で、【愛情の眼差し】は「上司(師長、主任など)は、心配りをもって接してくれる」、「我々の職場では、守ってくれているような雰囲気がある」など14項目で構成されていた。【感謝の交換】は「仕事をサポートしてくれたことを感謝している」、「職場のスタッフに感謝を伝えている」などの3項目で構成されていた。【とらわれない情報共有】は「同じ部署(病棟など)の看護師と仕事に関する情報を共有している」、「他職種スタッフの専門性を尊重している」、「他職種スタッフと対等に意見を交わすことができる」など16項目で構成されていた。【信頼する力】は「上司(師長、主任など)を信頼している」、「同じ部署(病棟など)の看護師を信頼している」など5項目で構成されていた。【強みへのアクセス】は「上司(師長、主任など)のサポートを受けることができる」、「上司(師長、主任など)は、看護師としての成長をサポートしてくれる」など5項目で構成されていた。【利他的互恵性】は「同じ部署(病棟など)の看護師は、家庭の事情に対して理解を示してくれる」、「私は、相手のことをまず第一に考えている」など6項目で構成されていた。
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