1.看護モデルを実践するためのツールの作成 平成28年度は、先行研究で明らかになった終末期がん患者と配偶者の相互作用を支えるための、配偶者への看護介入の視点として、「終末期の話し合いを支える」「介護者としての役割を支える」を柱に看護モデルの再構築を試みた。そして平成29年度は特に「終末期の話し合いを支える」ことに焦点を絞って、配偶者に限定せず、家族という視点でも文献検討を追加し、配偶者以外の家族にも看護モデルを適用できるように発展させた。そして、看護モデルを実践するためのツールとして、「終末期がん患者と家族の間での終末期の話し合いを促進するための家族への看護実践マニュアル」と「終末期がん患者と家族の間での終末期の話し合いのための家族向けのガイドブック」を作成した。看護実践マニュアルには、前年度までに検討した看護実践を評価するためのツールを活用した。作成したマニュアルとガイドブックを実践に使用できるよう精練するために、終末期がん患者と家族への看護のエキスパート看護師を対象にして、インタビュー調査を実施した。今後は、調査結果を基に精練した看護実践マニュアルとガイドブックを用いて、介入研究に発展させる予定である。 2.終末期がん看護に関する国外での情報収集 国外の終末期看護、がん看護について情報収集し、意見交換する目的で、カナダのダルハウジー大学に研修に行った。終末期患者と家族の研究、教育の経験が豊富な、ダルハウジー大学の教員であるブレンダサボ先生との対談では、終末期に関する研究成果について情報を得ることができた。また、日本における終末期看護に関すること、自身の行っている終末期がん患者と家族に関する研究について、大学教員や大学院生にプレゼンテーションする機会が得られ、意見交換ができた。さらに、がん医療を行っているSQⅡ病院に見学に行き、カナダでのがん看護の実践について情報を得た。
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