研究課題/領域番号 |
25862142
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
臺 美佐子 金沢大学, 保健学系, 助教 (50614864)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | リンパ浮腫 / リンパドレナージ / 超音波診断画像 / リンパ浮腫評価 |
研究概要 |
【背景と目的】乳癌術後の上肢リンパ浮腫 (BCRL) に対する、標準治療のうち特に徒手的リンパドレナージ(MLD)の直前・直後の皮膚と皮下組織の病態変化を定量的に評価することは、浮腫悪化防止、蜂窩織炎予防を目標とした適切なケア継続に重要である。本研究の目的は、MLD前後の皮膚硬さおよび皮膚・皮下組織を超音波診断装置で明らかにすることであった。 【方法】研究デザインは観察研究、解析対象者はBCRL病期II期(ISL分類)の15名で患肢と健肢で30肢を解析した。測定部位は肘関節下10cm内側部とした。MLD前後に皮膚硬さをVisual analog scale(VAS)で評価した。皮膚は超音波診断装置20MHzで低輝度所見割合(LEP)を算出し、皮下組織は超音波診断装置10MHzでPixel uniformityを算出した。臨床指標は周囲径、皮膚粘弾性、真皮水分量を測定した。いずれもMLD直前後を比較した。 【結果】患肢のVAS変化により皮膚が柔らかくなった群10名、変わらない群5名であった。両者の基礎情報に統計学的有意差はなかった。超音波診断画像からLEPとPiexel uniformityは柔らかくなった群でMLD後が前と比較して統計学的有意に減少した。臨床指標は両群ともに臨床的意義のある差はなかった。 【考察・結論】MLD直前直後の皮膚硬さ評価に合わせた皮膚、皮下組織の構造変化を明らかにし、新しい評価指標を提案した。BCRLのMLD前後で皮膚が柔らかくなった者の皮膚、皮下組織の組織間液減少がLEPとPixel uniformityより推測された。皮膚硬さが変わらない者は組織間液は変化しなかった。視覚的に観察可能な新しい非侵襲的指標として今後臨床応用が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画どおりに研究をすすめ、年度の目標は達成したことからおおむね順調に進展していると評価した。研究目的に対し、サンプルサイズは小さいものの2施設の全数調査を実施し、MLD直前直後の皮膚・皮下組織構造変化の特徴を抽出した。さらに、超音波診断画像を定量化し、新しい指標を発見した。今年度は、施設を拡大して対象者数を増やし条件のマッチングをさせること、今後の臨床応用へ向けた指標の有効性を検討することとする。
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今後の研究の推進方策 |
対象施設を拡大しサンプルサイズを増やすこと、罹患期間等の変数のマッチングを行った解析を行うこと、新指標の有効性の検討を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
対象施設の外来およびリハビリ室との連携、研究調査システムの構築に時間を要したこと、適格基準に合致し同意する患者数が予定より少なかったことから、次年度使用額が生じた。 サンプルサイズを拡大するために他施設調査が必要であり、旅費、調査費が必要である。また、精密機器を使用する調査であるためメンテナンス費も必要である。さらに、今年度数件成果発表を予定しており、学会参加のための費用および論文投稿に経費が必要である。
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