リンパ浮腫の治療効果評価方法として、真皮・皮下組織の変化を超音波診断画像(US)解析を用いて提言した。これは、非侵襲的・リアルタイム・微量な浮腫変化を捉えたという点で評価され、国際学術集会でAWARD2014を受賞した。本成果により浮腫変化を画像に描出し、画像解析で定量化することが可能となった。 対象者は、乳癌に対して腋窩リンパ節郭清後に発症した上肢リンパ浮腫患者24名(48肢)で、横断観察研究を実施した。標準的治療である徒手的リンパドレナージ(MLD)直前直後に、US(20MHz,10MHz)・皮膚硬さ評価(皮膚粘弾性・主観的つまみ上げ法)・周囲径を患肢・健肢の前腕内側部に測定した。画像解析は、画像変化を質的に評価後、定量化するパラメータを抽出して解析ソフトで算出した。 結果は、MLD直後の主観的皮膚硬さが、「柔らかくなった群」と「変わらなかった群」に分かれ各アウトカムの変化に特徴的な違いが見られた。2群で基本属性に差はなく、アウトカムのうち特にUSで明確な違いが見られた。「皮膚硬さが柔らかくなった群」で、真皮の低輝度所見割合が減少しており、Low echogenicity pixels (LEP)を算出するとMLD後に統計学的有意な減少を示した。皮下組織では、不均一な組織の均一化に着目し、Pixel uniformityを算出した結果、統計学的有意な減少を示した。一方、「皮膚硬さが変わらなかった群」では、真皮・皮下組織の変化は見られなかった。 以上より、皮膚が柔らかくなった群はLEPとPixel uniformityが減少することが明らかとなった。LEPは先行研究で水分量との関連性が報告されており、LEP減少は水分減少であると考えられる。しかしながら、Pixel uniformity減少(組織均一化)が組織のどのような変化を示すのかは明らかでなく、今後の課題である。
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