研究課題/領域番号 |
25862144
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
園田 奈央 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (00640153)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 糖尿病患者 / 低血糖 / 認知機能 / MMSE / 生活習慣 |
研究実績の概要 |
平成26年度の実施計画に基づき調査施設を3施設に増やし、引き続き調査を行い、糖尿病患者約700名に調査を実施した。その後、追跡可能なデータベースの構築を行った。対象者の平均年齢は66.9±11.0歳、男性410名(59.9%)であった。 低血糖が認知機能低下に与える影響について検討した。まず、認知機能低下についてMini-mental state examination(MMSE)を用いて評価したところ、解析対象者666名のうち、146名(21.3%)がMMSE26点以下の軽度認知機能低下であった。次に、低血糖と認知機能低下との関連を検討した結果、本研究においては低血糖と認知機能低下との関連は認められなかった。さらに、認知機能低下に影響する要因として、生活習慣について検討を加えた。その結果、喫煙者の平均年齢は60.9歳と最も若かった(非喫煙者65.3歳、禁煙者66.1歳)にも関わらず、喫煙者における軽度認知機能低下者の割合(case/n)は、非喫煙者16.4%(22/134)、喫煙者23.6%(13/55)、禁煙者24.4%(33/135)であった。 非喫煙者を基準とした軽度認知機能低下へのオッズ比は、喫煙者で3.67(1.30-10.33)、禁煙者で3.73(1.48-9.41)であった。加えて、喫煙者をpack-yearで2群に分類した結果、非喫煙者と比べて30 pack-years以上の喫煙者はオッズ比が5.70(1.56-20.81)であった。 糖尿病患者において、喫煙(特に累積量の多い喫煙)は軽度認知機能低下と有意な関連が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複数施設で調査を実施し、約700名の糖尿病患者を対象に調査を行うことができた。 低血糖と認知機能低下との関連を検討した結果、本研究においては低血糖と認知機能低下との関連は認められなかった。しかしながら、新たに認知機能に影響する要因として、生活習慣についての検討を加えた結果、喫煙が軽度認知機能低下に関連することを特定した。この結果について学会で発表を行うことが決まっている。 順調に調査を終了し、成果公表も実施できており(2)とした。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に学会発表した「糖尿病患者における重症・軽症低血糖の要因」について、現在国際誌に論文投稿中である。また、「糖尿病患者における喫煙状況と軽度認知機能低下との関連」について第51回日本循環器病予防学会において、発表を行うことが決まっている。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に、糖尿病患者における重症および軽症低血糖の要因について検討し、国際学会で発表した。広く成果を公表するためには国際誌に投稿することが不可欠である。しかしながら掲載までに時間を要したため、掲載費については今年度の予算執行ができず、次年度の支払いが必要である。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度に学会発表した「糖尿病患者における重症・軽症低血糖の要因」について、現在国際誌に論文投稿中であり、掲載費に充てる予定である。また、学会発表の費用に充てる予定である。
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