分子標的治療薬の副作用である手足症候群発症予防のためのセルフケアを促進することを目的として、平成25年より調査を行っている。平成27年度は、前年度から調査を実施していた手足症候群を発症している患者の実態について、さらに分析を進めた。半構造化インタビュー調査では、手足症候群を発症している患者の症状やセルフケア等について質的帰納的に分析した。「症状」「セルフケア」「発症前のセルフケア」「困りごと」「思い」の5項目で整理され、39サブカテゴリー、16カテゴリーに分類された。アンケート調査は、5段階(「1:まったくなかった」~「5:いつもそうである」)で評価され、30項目で構成されているSkindex29を用いて行い、SPSS ver.23で分析した。これらの結果から、多くの患者が皮膚の痛みなどの症状を訴えており、手足症候群を発症していることで憂鬱感や疲れなどが生じている。また、日常生活への支障もみられており、副作用が生じることによる患者への影響が大きいことが明らかになった。さらに発症前のセルフケアが実施されていない現状もあることから、予防のためのセルフケアの重要性が示唆された。 また、これらの調査を参考に作成した「指導用パンフレット」「セルフケア日記」は実際に患者に使用してもらうことで修正を重ね、手足症候群の副作用を生じる可能性のある分子標的治療薬の投与を開始する患者に対して、作成した資料を用いた指導の群と従来通りの指導の群に無作為に分け、経過を追ってセルフケアの実施状況や認識の確認、皮膚の症状の観察を進めている状況である。
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