研究課題/領域番号 |
25862161
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研究機関 | 新見公立大学 |
研究代表者 |
掛屋 純子 新見公立大学, 看護学部, 講師 (80442367)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 前立腺がん / service gap |
研究実績の概要 |
前立腺がん患者は、排尿機能・排便機能の程度にかかわらず、患者の排尿や性に関する負担感が、自尊感情への影響要因であることが明らかになっている。これらの排尿や性機能に関する障害は、患者の羞恥心や嫌悪感など患者の精神的な負担感となり、自己の価値観ともいえる自尊感情を低め、メンタルヘルスの影響が予測された。実際に術後の性機能障害によって、うつ状態を引き起こしたという症例報告もあり、メンタルヘルスに注目したケアの必要性は高まっている。さらに継続研究においては、患者の排尿負担感に関して、予期的不安にならないようにすることで排尿負担感の軽減や心の健康の維持が可能であるという結果が得られ、予期的不安に陥らないための支援や情報提供の重要性が示唆された。以上のことから、情報提供を含めた患者の心理的支援は急務であることが考えられる。しかし、このように心理的支援の必要性があるにも関わらず、前立腺がん患者は自ら援助を求めない現象があることに注目した。精神保健や心理臨床の分野では、悩みを抱えながら専門家に相談を求めないという現象をservice gap と称し、前立腺がん患者のservice gapの解明は急務と考えられた。そこで本研究では、研究期間内に以下の2点を明らかにする。1)前立腺がん患者のservice gapの要因の解明 概要:前立腺がん患者はなぜ援助を求めないのかをインタビュー調査によって明らかにする。2)前立腺がん患者のservice gap要因と関連要因の探索 概要:研究1で得られた結果から、service gapの要因と気分感情状態(緊張・抑うつ・怒り・活気・疲労・混乱)およびQOLとの関連を明らかにし、前立腺がん患者のservice gapを解消し、気分や感情の安定やQOLの維持に必要なサービスへと結び付けていくための実践的な手がかりを得る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
前立腺がん患者を対象に調査を実施し、本研究は以下の2部構成で行っている。4か年計画の経過を報告する。 25~26年度にかけ研究Ⅰに着手する。 研究Ⅰ:前立腺がん患者のservice gapの要因および援助要請の内容について質的研究を行い概念化していった。しかし、25年度開始予定の調査が、倫理審査の遅れによって全体的に遅れを期してしまった。データの追加も行い、27年度にかけて概念化を行った。 26~28年度にかけ研究Ⅱに着手する予定としていた、研究Ⅱについては、以前調査フィールドであった医師の開業に伴い、研究フィールドの再開拓を行っている。今後は、予定としている 研究Ⅱ:前立腺がん患者のservice gap要因と関連要因の検証を行う。研究Ⅰで概念化されたデータを尺度化し、信頼性・妥当性を検証した調査票を作成。予備調査による内容妥当性の検討後、前立腺がん患者にアンケート調査を行い、service gap要因と関連要因について検証を行う。 研究1着手において、倫理委員会審査の開催が遅れ、研究全体に支障をきたした。前述のように研究1で行うべき質的研究の概念化が27年度にかけて実施できた。アンケート調査においては、フィールドに予定していた関連医師の開業によってフィールドの再開拓を実施しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
全体的な遅れを取り戻すために、フィールドの再開拓ができたら、調査研究を速やかに実施し、可能であれば、5月には調査を実施し、年度内には分析、報告書の作成に取り組みたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の遅れのため、調査票の購入やアルバイト謝金等の発生がなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
調査票の作成費用、郵券代金、尺度使用料などに使用する。 人件費はデータ入力等に使用予定。 また、備品としては統計解析ソフトの購入をする。
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