研究目的は、循環器患者への終末期ケアの看護師の実践内容を把握し、循環器疾患患者の終末期医療における看護師の役割・機能のあり方を検討することである。文献検討を基に調査票を作成し調査を実施した。 平成27年度は、前年度に実施した調査の分析を実施した。統計解析の対象者は質問票を返信した249名(回収率39%)の中で全質問に回答した循環器看護に携わる195名(有効回答率78.3%)の看護師であった。分析結果より、循環器疾患患者の終末期における実践内容の因子分析の結果、「患者・家族との面接や支援」「終末期医療や先端医療に関する情報提供」「終末期や尊厳死に関する患者・家族への教育」「症状苦痛の緩和」「治療内容・症状緩和に向けた情報提供と意思決定支援」の5つの因子が抽出された。循環器疾患患者の終末期における看護師の実践内容と循環器疾患患者の終末期医療における看護師の役割認識では、循環器疾患患者の終末期における行動の実践と役割の評価に関する27項目の全項目にて役割の高さの評価が実践の程度よりも有意に高く、実践内容と役割のギャップが明らかとなった。自由記載結果より、循環器疾患患者の終末期ケアを実践している看護師は、終末期ケアの困難性や緩和ケアの導入の必要性を感じており、また患者・家族への十分なケアの提供ができないことや医師と看護師の意見の対立による葛藤を感じていることが明らかとなった。 本研究より、看護師が実践している役割・機能と循環器疾患患者の終末期ケアにおける困難感などの実態を整理したうえで、さらに循環器疾患患者への終末期ケアを看護実践可能なモデルへと発展させることが今後の課題である。
|