研究課題/領域番号 |
25862178
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
工藤 直子 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00646820)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 褥婦 / 自律神経機能評価 / 産後うつ病 / 心拍変動バイオフィードバック |
研究概要 |
正常褥婦の自律神経機能について、心拍変動解析値の経時的変化と精神的ストレスとの関係、および産褥早期における心拍変動バイオフィードバック法の精神的ストレスに対する効果を明らかにすることを目的とした。 A病院産婦人科で経膣分娩した正常褥婦55名を対象とし、産褥4日目より産後1か月までストレスイレイザーによる心拍変動バイオフィードバック法を実施した25例をバイオフィードバック群、実施しなかった30例をコントロール群とした。産褥4日目と産後1か月に精神状態の評価(マタニティーブルーズ自己質問表、エジンバラ産後うつ病質問票(以降、EPDS))、自律神経機能評価(心拍変動解析値)を行った。なお、対象者には個人情報保護の理念に基づき口頭と文書で説明と同意を得た。 産褥4日目と産後1か月時の心拍変動解析値を二群間比較した結果、産後1か月時のバイオフィードバック群の心拍数は有意に減少し、SDNN、HFパワー、LFパワーは増加した。精神状態との比較では、産褥4日目にマタニティーブルーズの症状が認められた16例はHFパワーの有意な減少が認められた。また、産後1か月のEPDSと心拍変動解析値との相関関係では、EPDS得点は心拍数との間に有意な正の相関、SDNNとHFパワーとの間に負の相関が認められた。 以上より、産褥早期から心拍変動バイオフィードバック法を励行することは、褥婦の精神的ストレスへの耐性が増加する可能性があることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在55例のデータ収集と解析を達成できている。当初の計画では、産褥1日目から研究参加を依頼する予定としていたが、産褥1日目は分娩疲労や母児同室という育児生活の開始に伴い、産褥1日目からの協力は困難な状況が多く見られた。 また、産褥4日目において、マタニティーブルーズの認められる褥婦を中心に心拍変動バイオフィードバックの実施を依頼する計画としていたが、実際そのような症状が出現している褥婦からの同意を得ることが困難であった。本来であれば、精神状態のハイリスクなケースへの介入方法として、心拍変動バイオフィードバックの効果を検証することを目的として考えていたが、精神状態の悪化が懸念されるようなケースへの介入が困難であることは本研究の限界であると考えられた。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の計画同様、次年度もデータ収集を行う。その際に、バイオフィードバック群を中心に、かつ、マタニティーブルーズの出現傾向にある方へも個別性に応じ、アプローチできたらと考えている。 また、次年度は得られた55例のデータを基に、詳細項目にわたる分析を行っていき、論文作成並びに学会発表を計画する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度は更なるデータの収集並びに、主に得られたデータの分析や、論文作成並びに英文による論文作成のために使用していく計画とする。また、今年度は途中経過における学会発表であったため、更なる分析を踏まえた内容で学会発表を検討している。 データ収集における謝礼等の備品代、並びに論文作成や英文による論文作成のための翻訳・校正代として計上した。
|