妊娠線を含む生理的皮膚変化は、分娩後に軽快することや、母体や胎児共に生命に直接関わらない事項であるため、積極的な治療は実施されていない。しかし、妊娠線は、一旦生じると分娩後も旧妊娠線となって瘢痕化し、治癒することなく一生涯にわたり存続し、女性の身体に傷跡として残存する。妊娠線を有する妊婦のQOLは障害されていることが判明しており、妊娠線の治療や予防法の確立は妊婦のみならず、産後の女性の一生にとって重要な意味を有する。 そこで、妊娠線の治療や予防法を確立する上で、妊娠線の発生機序を解明することは重要である。そのため、妊娠線の出現時期や変化を把握するために、妊娠経過に伴う血中リラキシン値の変化や妊娠線の出現経過について調査した。 妊娠経過の前期、中期、後期における血中リラキシン濃度を二元配置分散分析を用いて比較し、有意差は認められなかった。妊娠経過に伴う体重増加量に妊娠線出現有無で有意差を認めた。 また、妊娠線の出現経過では、妊娠28週から出現を認めるものが存在したが、多くは妊娠34週以降から出現していた。出現部位は、下腹部から出現し、下腹部の出現程度が強くなると、上腹部にも出現することが多かった。
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