本研究は、妊娠末期から産後6か月の母親を対象とし、母乳育児を継続することに影響した母親の妊娠期および産後6か月間の知識・イメージを明確化する目的で縦断的な調査を行った。 研究者所属大学の倫理審査を経て平成26年6月より関東近県の母親学級を主催している市町村及び、産科診療所にて対象者の募集を行った。20名の妊婦より研究参加承諾の連絡をいただいた。その後、妊娠期は17名、産後1か月時は15名、産後3か月時は18名、産後6か月時は18名の母親に母乳育児の知識・イメージ及び体験に関する面接調査を行った。産後6か月までの4回の面接を全て実施できた母親は15名であった。面接調査期間は平成26年7月~平成27年8月だった。 平成27年度は主に結果分析を行った。妊娠期は多くの母親が母乳育児について具体的な知識・イメージを持っておらず、漠然と母乳育児を行いたいという希望を持っていることが明らかとなった。また、母乳育児を希望しているものの、実際に産後母乳が出るか、母乳育児を頑張りすぎることで自身がストレスフルな状況になること等を危惧していた。一方で妊娠期は妊娠中や分娩に関する知識のニーズが高く、母乳育児については特に調べていなかった。出産後、母乳育児開始後に母乳育児の知識・技術を習得したいというニーズが高まり、母親が自ら積極的に情報収集を行う傾向がみられた。産後に育児で多忙となる母親の情報収集手段は、インターネットの活用が多い事が明らかになった。 また、妊娠期の母乳育児の知識・イメージやケアについて焦点を当てた原著論文18論文を検討し、研究報告「妊娠期の母乳育児支援のあり方に関する検討」をまとめた。さらに、母性看護学の専門家及び母乳育児支援者による会議を行い、母乳育児継続に役立つためのDVD の試作品を作成した。また情報提供方法としてインターネット利用を計画しホームページの作成準備をすすめた。
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