研究課題/領域番号 |
25862216
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研究機関 | 独立行政法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
竹原 健二 独立行政法人国立成育医療研究センター, 研究所 政策科学研究部, 研究員 (50531571)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 両親学級 / 介入研究 / プログラム開発 / 産後うつ / 妊産婦ケア |
研究実績の概要 |
本研究は、妊産婦のパートナーを対象に、分娩施設や自治体が開催する両親学級などで活用される、妊産婦のパートナーのメンタルヘルスを支えるための新たな介入プログラムの開発と、その有効性の検証をすることが目的である。 今年度の実績として、上記の目的を達するために、介入研究を実施する施設において、両親学級をフィールドとして介入をするための体制作りが進められた。両親学級を担当する看護スタッフらとの打ち合わせが重ねられた。当初の予定していた介入プログラムは特定のスタッフがいないとできない、といった問題があり、だれでも、どこでもその介入プログラムが容易に展開できるような仕組みを考慮した。 より効果的で、先行研究との比較なども考慮した介入プログラムの構築を目指して、国外で実施されてきた、父親を対象とした介入プログラムについて、研究協力者とともに系統的レビューをおこなった。また、その系統的レビューの結果に関する英論文の執筆に着手した。 平成25年度の実績をもとに、介入プログラムを開発していくにあたり、内容を精査するだけでなく、簡便に実施でき、多くの妊産婦のパートナーに届けることができるような配慮が必要という結果が得られた。そのため、系統的レビューの論文を執筆するとともに、そのレビューの結果も踏まえて、研究者や助産師、保育士などの専門職を交えた打ち合わせをおこない、介入プログラムの内容を検討し、父親に伝えるべき情報、心がまえ、その伝達手段などについて検討をおこなった。介入プログラムの開発は概ね見通しが立ち、介入研究自体も平成27年度夏ごろには開始できる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度は、①介入プログラムの開発と、②介入研究(クラスター無作為化比較試験)の実施準備、③年度末から介入研究の開始、を目指していた。研究終了後の介入プログラムを展開する際の簡便さをより重視して、プログラムの見直しなどをおこなったため、時間を要した。そのため、再検討をした介入プログラムの開発は概ね見通しが立っているものの、介入研究の実施には至らなかった。研究の実施協力施設との調整は進んでおり、平成27年度の上旬に速やかに介入研究の開始することに向け、作業を進めているところである。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、両親学級のクラスをクラスターとした、クラスター無作為化比較試験の実施と、系統的レビューの結果の論文化の2つを通して、妊産婦のパートナーのメンタルヘルスを支えるための介入プログラムの重要性と、その一つの介入方法案を提示したい。 介入研究では、既存の両親学級のクラスの内容を対照群のプログラムとし、介入群にはそれに追加して、主に父親を対象とした冊子の配布による、情報提供をおこなう。この冊子は、本研究により有効性が確認された場合には、自治体などにその結果をアナウンスし、興味がある方々に使っていただけるようにすることを目指している。研究計画自体は、Protocol paperの執筆や臨床試験登録をおこなって、適切に進めていく予定である。 系統的レビューについては、レビューの計画をPROSPEROに登録し、その後、レビューをおこなうといったより科学的に評価の高い方法をとって進めるために作業をおこなっている。 こうした結果を広く周知するためにも、英論文の執筆・投稿、学会発表をするとともに、実際に両親学級を実施している医療従事者や行政担当者など、現場レベルへの結果の周知にも努めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度から介入研究を実施することを予定していたが、介入プログラムの開発や介入研究の実施施設との調整の都合により、平成27年度からの実施になった。そのため、介入研究に直接、要する予定だった費用が次年度使用額となった。ただし、予定よりやや遅れてはいるものの、研究の実施に向けた準備は進んでいる。
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次年度使用額の使用計画 |
介入プログラムで作成する妊娠期の男性に対する情報提供を目的とした小冊子の製本費用や、質問票の印刷などの費用、対象者への調査の実施に要する郵送などの費用、調査員への謝金など、介入研究の実施のための費用として用いる。
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