研究課題/領域番号 |
25862216
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研究機関 | 国立研究開発法人国立成育医療研究センター |
研究代表者 |
竹原 健二 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, その他部局等, 研究員 (50531571)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 無作為化比較試験 / 系統的レビュー / 父親の産後うつ |
研究実績の概要 |
本研究は分娩施設において、妊婦のパートナーを対象に、メンタルヘルスの不調を予防することや、産前・産後の生活の質を向上させるための介入プログラムの有効性を評価することを目的としている。 今年度の主たる実績は、①介入プログラムの開発、②介入研究の開始と進捗管理、③妊婦のパートナーを対象とした介入プログラムに関する系統的レビューの実施、の3つである。 ①介入プログラムは、国内外の先行研究や、これまで妊産婦のパートナーを対象におこなったインタビュー、自治体が作成している「父子手帳」などをもとに、研究者や助産師、保育士などが内容を検討した。そして、B5版で32ページからなる小冊子の作成をおこなった。 ②作成をした小冊子の有効性を検証することを目的とした無作為化比較試験を実施している。当初は、東京都内の施設の両親学級でクラスター化無作為化比較試験を実施する予定であったが、他の介入研究と対象者が重複してしまう可能性が高いことが発覚した。そのため、急遽、別の研究協力施設を探し、研究デザインを個人を対象にした無作為化比較試験に修正をして、倫理委員会の承認の取得および、臨床試験登録をおこなった後に、研究の開始に至った。現在、研究計画に関する英論文の投稿まで済むとともに、介入研究は約550人の対象者の参加を目標に、順調に進行している。 ③妊婦のパートナーを対象とした介入プログラムに関する系統的レビューの登録をおこない、現在はレビューの実施をおこなっている。PROSPEROに系統的レビューのタイトルの登録をおこなった。検索式に基づいて抽出された11の介入研究について、Risk of biasの評価を終え、最終稿の執筆を進めているところである。 以上のように、当初の予定よりは遅れつつあるものの、十分な実績は得られている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度に実施を予定していた介入研究は、研究協力施設との調整や研究計画書の作成が終了した段階で、他の介入研究と対象者が重複し、研究結果が適切に解析できない可能性のあることが発覚した。そのため、新たに研究協力施設を探し、施設の状況に合わせて研究デザインの修正などをおこなった。しかし、無事に介入研究を開始することができ、平成28年度中の終了に向けて、リクルートおよび介入、データ収集を実施しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の中心ともいえる、妊婦のパートナーを対象とした介入研究を計画通りに最後まで完遂することが重要である。より質の高いデータを収集するためにも、これまでと同様に、調査協力施設との綿密な連携やスーパーバイズ、ハイリスクの対象者に対する早期のフィードバックをおこなっていく。それとともに、研究の成果の公表にも努めていく。現時点では、介入研究のProtocol paperは英文誌に投稿済みで、査読結果の修正を進めているところである。また、妊婦のパートナーを対象とした系統的レビューは、国際的な系統的レビューの計画登録サイトPROSPEROに登録をおこなった上で、該当する論文の評価は終了し、最終稿の執筆を進めているところである。これらの論文について、海外の雑誌に掲載されるように進めていく。また、介入研究で得られたデータも解析を進め、論文の投稿や学会発表、行政や分娩施設への提言などを積極的に進めていく。本研究により、妊婦のパートナーへの情報提供が有効であることが示された場合は、一部の自治体で作成・配布されている「父子手帳」のような媒体の配布の推進につなげたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度、介入研究を実施する予定で研究計画やロジスティックスを立てていた施設において、ほぼ同時期に同じ対象集団に対する調査が実施されることが発覚した。そのため、その研究の代表者と協議をおこない、それぞれの研究へのContaminationや、現場の混乱による質の低下を防ぐために、本研究を別の地域で実施することとなり、研究フィールドの獲得からやりなおさなければならなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
無事に、別の研究協力施設が見つかり、現在、介入研究を実施している。次年度使用額は、その調査の実施に際して発生する質問票の郵送料や、スーパーバイズのための現地への旅費に使用する予定である。
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