先駆的な訪問看護(健康保険法または介護保険法により報酬の得られる指定訪問看護以外の訪問看護)は、これまで法制度化された実践もあり、社会変化のニーズに対応して実践されているが、体系化されていない。本研究は、先駆的な訪問看護の実践とそのニーズの体系化を目指すことを目的とした。そのため、これまでの調査でカテゴリー化した先駆的な訪問看護の実践内容とニーズに必要な要素を確認し、整理した。 平成25年度は、Donabedianが示した質評価の枠組みに着目し、①構造(structure)、②過程(process)、③結果(outcome)と先駆的な訪問看護の実践内容やそのニーズとの関係性を検討した。その結果、訪問看護事業所の体制として、他機関・多職種との連携も整理が必要であることを確認した。 平成26年度は、厚生労働省あるいは都道府県独自により在宅医療と介護の連携拠点の構築に取り組む市区町村行政等の訪問看護事業所を対象として、訪問看護事業所の多職種連携の内容やそのニーズを加え、先駆的な訪問看護の実践内容とニーズについて、調査を実施した。 調査は、6市区145か所の訪問看護事業所に質問紙を郵送し、57か所から回答を得た(回収率は39%)。そのうち、先駆的な訪問看護の実践のあった訪問看護事業所は20か所であった(実践割合は調査回答者の35%)。また、各市区の訪問看護師が所属する団体の役員1~2名に面接調査も実施し、訪問看護師が参加する多職種連携の内容やそのニーズを確認した。その結果、先駆的な訪問看護の実践をした訪問看護師は、多職種連携の場に理由(ニーズ)をもって参加していた。 よって、訪問看護事業所は先駆的な訪問看護のニーズを把握し、ニーズに対応して先駆的な訪問看護を実践していくためには、各地域における多職種連携の場への参加により、多職種と協働できる体制も必要であることが示された。
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