平成25年度に高齢者ケア施設で看護職が提供するEnd-of-Life(EOL)ケアの質の評価に関するレビュー論文の執筆のため英語論文の検索・収集を実施し75件を選定した。平成26年度においてこれらの文献を研究協力者と協議しながら評価・検討した。その結果、各国で看護職が行なっているEOLケアは医療・福祉制度や看護職の役割、文化などに応じて多様であることが明らかとなった。そのため、看護職が提供するEOLケアの質評価尺度の開発に着手する以前に、看護職が提供するEOLケアの構成要素を各国の高齢者ケア施設の看護職の活動に即して明確にした上で、わが国の看護職のEOLケアの構成要素の概念を明確にする必要があるとの結論に至った。平成25年度の収集論文では質評価に関する用語のみで検索しているなどの限界から不足があると判断した。以上より、平成26年度において再度MedlineとCINAHLを用いて1995年から2014年11月までの文献を検索・収集した。合計387件の文献が抽出され、重複文献や適格基準に満たない文献を除外し24文献を選定した。現時点での分析で、各国の高齢者ケア施設で看護職が行っているEOLケアの要素としてアセスメント、症状・薬剤マネジメント、スピリチュアルケア、文化への配慮、家族ケア、個別ケア、意思決定支援、尊厳の配慮、親密さ、他の入居者の死の伝達、スタッフのサポートなどの16個のEOLケアの要素が抽出されている。 さらに、わが国の看護職のEOLケアの構成要素を明らかにする目的で、高齢者ケア施設の看護職に対して、過去1年以内の事例に提供したEOLケアを聴取するインタビュー調査に着手した。上記文献を参考にしながら研究協力者との協議に基づきインタビューガイドを作成し、現時点で高齢者ケア施設に勤務する老人看護専門看護師を含む看護師3名のからデータ収集を終了している。
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