研究課題
若手研究(B)
本研究では、転倒・虚弱リスク評価として従来用いられてきた質問紙による主観的な指標と、筋量や筋機能などの客観的な指標を考慮した新しい転倒スコアを開発することにある。対象は、10 年の長期縦断研究の実績のある本邦地域(高知県T町・京都市の有料老人ホーム)とすでに協力関係の確立しているブータン周辺在住の高齢者とする。サルコペニア指標、ロコモティブシンドロームセルフチェック(ロコモチェック)、21 項目転倒リスクスコア(Fall Risk Index:FRI)、生活機能、身体指標(身長・体重・腹囲など)、運動機能(Up&Go テスト、握力など)、ライフスタイル、抑うつなどについて現地の協力スタッフと協働で調査を行う。そして、サルコペニア指標、ロコモチェック、FRI を評価し、それぞれの関連と転倒発生の影響を横断的、縦断的に検討する。高知県T町:在住の75歳以上の高齢者(285名、平均年齢82.2歳)を対象に、健診と質問紙を用いた調査を行った。ロコモチェックロコモチェック表を用いた検討では、対象者の77%がロコモのリスクありという結果であった。ロコモのリスクがある人は、転倒既往の割合がに高く、生活機能スコアが低く、運動機能が低下していた。有料老人ホーム:有料老人ホーム入居高齢者(161名、平均年齢83.3歳)では、回答者のほぼ全員がロコモのリスクがあった。ロコモのリスクが高い高齢者に対しては、運動指導を行った。ブータン(ブムタン地域・サムテガン地域):ブータンにおいて在住高齢者400名について、現地スタッフと共同し、調査を実施した。また、健診会場に来れない高齢者に対しては、家庭訪問を実施した。結果について、現地スタッフ、保健省に報告し情報共有を行った。
2: おおむね順調に進展している
25年度においては、T町、有料老人ホーム、ブータンでの調査の目的を達成することができた。昨年度の調査に引き続いて、本年度の調査日程は、有料老人ホーム(6月)、高知県T町(8月)とほぼ決まっている。また、ブータンでの調査計画についても交渉中である。これらの成果をまとめるため、解析を進めている。以上より、研究計画はおおむね順調であると判断した。
本年度も、継続して高知県T町、有料老人ホーム、ブータンでの調査を実施予定である。えられたデータより、転倒・骨折を目的変数とし、サルコペニア指標・ロコモセルフチェック、FRI の項目を説明変数として多変量解析を用いて、転倒のリスク要因を検討し、転倒予測スコアを開発する。また新しく開発した転倒スコアと転倒や日常生活機能、抑うつ、ライフスタイル、既往歴、運動機能などの指標との関連を明らかにする。生活・文化が異なる地域で比較を行い、新しく開発した転倒スコアの妥当性について検討を行っていく。
残高は450円であり、誤差の範囲である。大きな問題はないと考える。26年度軽費に含め、使用する。
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Geriatrics & Gerontology International.
巻: 13 ページ: 1051-1058
巻: 13 ページ: 218-225
Journal of the American Geriatrics Society.
巻: 61 ページ: 2241-2242
http://www.cseas.kyoto-u.ac.jp/2013/05/yasuko_ishimoto/