研究課題/領域番号 |
25862232
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
市川 佳映 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 客員研究員 (50514618)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 失禁 / 高齢者 / 皮膚炎 |
研究実績の概要 |
Incontinence-Associated Dermatitis(IAD)発生予測因子である「尿臭」の原因を明らかにするために、研究調査の準備および実施を行った。調査準備としては、「尿臭」を有する対象者がいる可能性の高い高齢者施設を中心に新規調査施設の開拓を行った。その結果、有料老人ホームおよびグループホームにて調査を行う調整が整った。なお当該年度は、開拓した施設にて3名を対象に調査を実施した。その結果、前年度に行ったパイロット調査と同様の結果が得られた。「尿臭」を有する2名の対象者では、尿からアンモニア臭が確認され(濃度平均:2.5ppm)、尿pHはアルカリ性を示し(平均:7.75)、尿中よりリン酸アンモニウムMg結晶が検出され、尿が接触している皮膚は炎症性の色素沈着や発赤を有していることが確認された。一方で、「尿臭」を有さない対象者1名においては、アンモニアは検出されず、尿pHは5.5、尿中にリン酸アンモニウムMg結晶も確認されなかった。尿培養の結果については、パイロット研究ではアンモニアが検出された対象者より尿素分解酵素産生菌が検出されたが、今回の対象者からは尿素分解酵素産生菌は検出されずE.coli(大腸菌)のみが検出され、パイロット調査とは異なる結果となった。尿素分解酵素産生菌の常在により、尿中尿素がアンモニアと二酸化炭素に分解されアンモニア臭を強めることが強い臭気の原因の一つとして考えられるため、引き続き調査を行い、アンモニア濃度と細菌感染との関係を明らかにする必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
妊娠(安静保持期間あり)、出産があり、予定通りの計画遂行が困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
予定対象者数の調査を実施し、「尿臭」の原因分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
妊娠、出産があり、予定通りに計画が遂行できなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は、調査に要する消耗品および尿検体分析の費用、学会へ参加するための旅費に使用する。
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