研究課題/領域番号 |
25862236
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
加藤 泰子 兵庫県立大学, 看護学部, 助教 (70510866)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | レビー小体型認知症 / 認知機能の変動 / 認知症 / 高齢者 / 看護 / ケア |
研究実績の概要 |
本研究はレビー小体型認知症(以下、DLBとする)の看護指針を明らかにすることをテーマにしている。DLBには他の認知症にはほとんど見られない認知機能の変動、幻視、パーキンソニズムという症状が出現することが特徴である。これは診断基準の中核的症状としてしめされるほど、DLBを特徴づけている。本研究ではまずはこの3つの症状のなかで「認知機能の変動」に対しての看護の構築を目指して取り組んでいる。 そこで本研究では、DLBの人の生活援助をより適切に行えるようにするため、DLBの中核症状の一つである、認知機能の変動(fluctuating cognition)のパターンを明らかにすることを第一義の目標とした。この最終目的のために,1段階目の研究として、DLBの認知機能の変動の有無をみるMFCS、CFIの評価項目を基盤にしながら、DLBの人と家族介護者に認知機能の変動に伴う行動の変化や起こり方、時間などについてインタビューを行い、質的分析により生活場面における認知機能の変動観察指標を作成する。2段階目は、作成した観察指標を用いて、DLBの人の生活行動を経時的に観察して、認知機能の変動のパターン及びそれに関連する内容を明らかにすることに取り組んでいる。現在、第一段階のDLBの人と家族介護者にインタビューを行い、そのデータ分析をしながらDLBの認知機能の変動の実態を明らかにするための観察指標の作成に取り組んでいるところである。分析段階ではあるが、DLBの人と家族から得られたデータは貴重であり、既存のMFCSやCFIには見られなかった、認知機能の変動を捉える視点や対応の仕方が示唆されるものが含まれている。更に分析を進め、第二段階の研究に入る予定であるが、第一段階のこの成果について、学会発表・論文投稿を行い、社会・国民に還元することにも努めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究は着実に進んではいるが、DLBと診断された方を紹介して頂くことが非常に難しい状況にある。DLBは診断が難しい上に、専門医も少なく、研究協力を依頼するフィールドが限られている。その上、本研究ではDLBの本人と家族に直接インタビューを行い、それを研究のデータとする手法をとっているため、研究対象となる方々に多大な労力を依頼するものである。またこのような理由から倫理的にも慎重に研究協力の依頼を進めていく必要がある。よって、研究対象者の紹介・同意を得ることに予想以上に時間を要した。研究計画ではデータ収集期間を2か月としたが、実際にはデータ収集に8か月を要した。そのため、当初の予定から半年遅れてすすめているところである。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、現在得られたデータを丁寧に分析し、第1段階目の成果を示すこと、さらにこの結果に基づいて、第2段階の研究を進めていくことである。研究を進めていくなかで、DLBの認知機能の変動の看護を構築するには、まずは認知機能の変動パターンを明らかにしなければならず、そのためには、4週間ほど、DLBの人の生活を観察することが必要だと考えている。そのため、第1段階同様に、第2段階でも研究対象者の紹介・協力を得ることにまずは時間を要すこと、実際に変動のパターンを観察し続ける専門職の協力を得ることも重要な課題であり、全国の認知症認定看護師などに協力を呼び掛けて進めていく必要があると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究対象者の紹介・協力を得ることに時間を要し、予想以上にデータ収集に時間がかかったことにより、謝金、旅費、研究会議等の支出が当初の予定を下回ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、第1段階の分析・結果・学会発表・論文投稿を行う予定で、これらに関して研究費を使用予定である。また、同時に第2段階にも入るため、次年度もデータ収集・分析等を行っていく。第2段階では数週間、データ収集を継続する必要がある。そのため、科研費は研究対象者・協力者への謝金や、研究者の旅費や宿泊費などが・謝金などに多くを使用する予定である。
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