本研究では,レビー小体型認知症(以下,DLBとする)の看護指針の作成に取り組んだ。まずは,国内外の文献検討を通して,DLBの看護を行う上での特徴を洗い出した。その結果,認知機能変動・幻視・パーキンソニズムという3つの中核的特徴の実際を明らかにする必要があることが分かり,その中でも,DLBの看護の構築にあたっては,DLBの人や家族の生活に大きな影響を与えている認知機能変動に着眼する重要性が明確になった。そこで,DLBに起こる認知機能変動の実態を明らかにすることに取り組んだ。その調査方法として,質的帰納的研究方法を用いて,DLBの人と家族介護者に認知機能変動の経験について面接を行ない,DLBの本人と家族の視点から認知機能変動という症状を明らかにした。 本研究の結果は,DLBの人は,【判断・思考がコントロールできなくなる】【会話力や記憶力が低下する】【現実感覚が定かでなくなる】【具合が悪くなる】という変化を経験し,その成り行きとして【幻視の認識が変わる】【精神面が極端に揺れ動く】という経験もしていた。また,【変動には時間帯や薬の影響があると感じる】とも語った。一方家族の語りからは,【表情や様子がおかしくなる】【可能は日常生活動作ができなくなる】など変動の内容や,【感情的な行動が多くなる】【ガラリと異様な人柄になる】といった変動の特徴,そして,【ある時間のなかで変動する】【ある時点や契機によって変動する】【突然変動する】という変動が起こる時期についても言及があった。これらの結果を踏まえたうえで,さらに認知機能変動のパターンなどの側面を明らかにすることが,DLBの看護に重要であることが示唆された。
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