本研究の目的は、精神障がい者が園芸作業および農作業を通して育まれた就労に関するエンパワメント並びに精神障がい者のエンパワメントを促進させるかかわり方のコツを明らかにし、農福“医”連携モデル案の作成に向けて、支援者の効果的なかかわり方について検討することである。 今までの園芸作業・農作業を通して育まれた精神障がい者のエンパワメントに関する研究結果から、『①自己効力感が高められること』『②将来起こりうることが予期できること』『③他者へ関心が向くこと』の3点が精神障がい者の就労に向かうために必要となる核であると考えられた。そして、『Ⅰ自分のできる部分・できない部分を認める』『Ⅱ疾患に対する自分なりの対処行動を習得する』『Ⅲ働く者としての自負をもつ』『Ⅳ前に向かう意欲をもつ』『Ⅴ他者を仕事仲間として認識する』の5点精神障がい者の就労を継続するために必要となる核であると考えられた。 令和元年度は、以上の結果を基礎資料とし、農福“医”連携モデル案作成に向けての効果的なかかわり方について検討した。まず就労に向かう前段階の支援として、病院入院中または地域で支援サービスを受けている時点から①、②、③を意識した支援を医療分野の看護職が行っていくことが求められると考える。また、農業分野で就労を継続していくための支援として、その人の強みに着目し仕事をするための生活を整えていくためにⅠ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴを意識した支援を農業分野、福祉分野、医療分野が共通認識をして行っていくこと、そして疾患管理のための支援としてⅡを医療分野の看護職が行うとともに、福祉分野、農業分野へ情報提供していくことが求められる。これらの検討結果を農福“医”連携モデル案作成に反映し、今後の研究において、農福“医”モデルの構築をさらに進めていく予定である。 令和元度は、研究成果について学会発表を行った。また、論文投稿の準備を進めている。
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