本研究は、知的障害者の医療的ケアを支えていると考えられる看護師が、実際に行っている医療的ケアの現状やかかわりを明らかにすること、また知的障害者にかかわる看護師の地域連携について明らかにすることを目的とした。 インタビュー調査をもとに作成した調査票を用いて、A県内の訪問看護ステーション454ヶ所と障害福祉サービス事業所(生活介護)417ヶ所で働く看護師を対象として、郵送による自記式質問紙調査を行い結果について分析した。訪問看護ステーションの回収数は93件(20.4%)、障害福祉サービス事業所(生活介護)の回収数は84件(20.1%)であった。 訪問看護ステーションへの調査では、過去3年間のうち知的障害者への訪問看護を行ったことがある事業所は39ヶ所(41.9%)で、服薬管理に関する支援や排便コントロール、ガーゼ交換などの医療的ケアの他、精神状態の観察や家族の不安への支援も広く行っていることが明らかとなった。 障害福祉サービス事業所(生活介護)への調査では、看護師は服薬管理に関する支援や精神状態の観察を頻繁に行っている他、事業所職員への医療的な指導、健康相談、健康管理を行っていることが明らかとなった。また、他機関とは看護師が直接連携をとるより、担当スタッフを通して連携をとることが多いという結果であった。 訪問看護ステーション及び障害福祉サービス事業所(生活介護)の両者の調査を通じ、他機関と連携していくためには、情報を共有すること、障害特性を理解し必要な支援を明確にすること、定期的な連絡・相談する場を設けること、このために取りまとめとなる役割を担う人の存在が必要であることが示唆された。
|