本研究では地域で生活する高齢者がいかにして自ら転倒に対処しようとするのかという転倒の対処方略について明らかにすることを目的とした。高齢者10名の語りの内容から、地域で生活する高齢者が転倒に対して用いている対処方略は健康のための身体づくりや転倒予防行動を積極的に自己にて行うことと周囲にサポートを求めて他者に依存していくことの二要素から構成されていた。また、地域在住高齢者390名のアンケート調査結果から、地域在住高齢者の転倒の対処方略は積極的な転倒予防を意識した問題解決型の対処方略に加えて転倒しそうなほど身体機能が低下しているという老いの現実を受容するための情動対処方略の両方が含まれていた。
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