研究期間全体を通じて実施した研究の成果としては、Ⅰ. CT画像を対象に、画像を表示した際に注目する位置の解剖名を表示するシステムの開発、Ⅱ. 胸部X線画像を対象に病変の経時変化を定量的に示す経時差分画像の定量的カラー表示法の開発、Ⅲ. 複数画像の比較読影のための画像表示自動調整システムの開発、Ⅳ. 胸部X線画像を対象に胃管、中心静脈カテーテル、手術用ガーゼの強調表示システムの開発、Ⅴ. 頭部CT画像を対象に画像の左右差を評価するシステムの開発を行った。 平成26年度は、1. 前年度に開発した画像処理システムの改良と、2. 性能評価実験、3. 研究成果の発表と論文執筆を行った。 1. 画像処理システムの改良は、次の内容について取り組んだ。Ⅰ. 解剖名の表示システムでは、認識性能を向上させるために人工ニューラルネットワークの深層学習による認識システムを採用した。Ⅱ. 病変の経時変化を定量的に示すシステムについては、2次元ヒストグラムを用いた階調補正を行う方法を取り入れることで、位置合わせの精度と経時変化量の定量性の向上を実現した。Ⅲ. 画像表示の自動調整システムについても、2次元ヒストグラムのRadon変換により線形の階調補正を行う方法に改良した。Ⅳ. デバイスの強調表示システムについては、バンドパスフィルタ処理を採用し、強調する周波数帯域のパラメータを最適化した。Ⅴ. 画像の左右差を評価するシステムについては、頭部CT画像の基準面を自動検出して幾何学的な位置補正を行った後、左右差を定量評価する方法を開発した。 2. 性能評価実験は、画像処理システムの性能評価に加えて、医師と看護師、診療放射線技師を対象に画像の観察者実験とアンケート調査を実施した。 3. 研究成果の発表と論文執筆については、研究成果の一部を学会で発表した。残りも現在演題申請中である。また、論文についても投稿中である。
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