生活習慣病予防に関する保健指導において、家族は保健指導を受けた者からどのような健康に関する影響を受けて家族の何が変化するのか、健康の波及の実態を家族の視点から明らかにすることを目的に、調査を行った。 第1段階で、特定保健指導の6か月後の評価を受けた者とその家族1名に対し、無記名自記式質問紙調査を実施した。調査内容は、受講者に対しては、基本属性(性別,年齢)、特定保健指導の種類および設定した行動目標と達成状況(ほぼ達成できた、まあまあ達成できた、あまり達成できなかった、全く達成できなかった)である。家族に対しては、基本属性(性別、年齢、受講者との続柄、同居・別居)、受講者が特定保健指導を利用したことによる自身の健康に関するよい変化の有無等である。結果、有効回答は95通(58.3%)で、受講者は男性51名、女性44名、家族は男性38名、女性57名であった。家族で健康に関するよい変化のあった者は34.7%で、受講者の背景と家族の健康に関するよい変化の有無について、受講者の性別および特定保健指導の種類と、家族の健康に関するよい変化の有無については、関連は見られなかった。 第2段階で、第1段階の質問紙調査において、健康に関するよい変化があったと回答した家族で調査協力が得られた者に、健康に関するよい変化の内容や受講者から受けた健康の影響について面接調査を実施し、質的帰納的に分析した。その結果、受講者から家族は【健康づくりに関する学習機会の増加】【受講者に合わせた生活習慣の改善】【健康づくりの相乗効果】という健康に関する影響を受けて、家族は【健康に関する知識や関心の増加】【生活習慣の改善】【身体的な改善】という変化をすることが明らかとなった。 現在は、上記の結果を踏まえ、家族への波及を意図した保健指導プログラムを開発中である。
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