研究概要 |
平成25年度は調査実施に向け、研究枠組みの修正と調査項目の選定を目的として,文献検討を行った. まず高齢者の状態像が多様であることをふまえ,本研究の目的に照らして,地域包括支援センターの保健師等(以下,保健師等)が支援の中心的役割を担う介護保険法における虚弱高齢者レベルに焦点を当て文献検索を行った.20編を分析対象として,要介護認定未認定の一人暮らし高齢者の自立生活継続に関連する要因を検討した結果,【体調の安定】として『疾患の良好な管理』・『加齢による機能低下の抑制』,【生活基盤の安定】として『日常生活の安定』・『経済的な安定』,【安全の確保】として『緊急時対応策の確立』・『将来の見通しの明確化』,【人的ネットワークの維持】として『日常的に行き来のある交友関係の維持』・『別居家族との良好な関係の維持』の4側面8要因が抽出された. 次に,保健師等が行う個別支援の特徴を他職種による支援と比較して整理した.8編を分析し,個別支援での連携相手は医療関係者が他職種よりも多いこと,保健師資格所持者(以下,保健師)のほうが看護師資格のみ所持者よりも専門性が発揮できると認識する者が多く,区組織・役員と連携した支援対象者の把握と継続支援を行っていることが確認された.しかし一人暮らし高齢者に対する支援については他職種を含め事例研究に留まっており,保健師等による支援の実態は確認することができなかった. 以上の結果から,一人暮らし高齢者の自立生活継続を可能とするために必要な予防的支援活動を検討するために,次年度は上述の4側面を枠組みとして保健師が行う対象者の把握と支援の実際について調査を実施することとした.
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