研究課題/領域番号 |
25862264
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研究機関 | 三重県立看護大学 |
研究代表者 |
多次 淳一郎 三重県立看護大学, 看護学部, 助教 (60632205)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 地域包括支援センター / 保健師 / 一人暮らし高齢者 |
研究実績の概要 |
平成26年度の研究目的は,大都市部の地域包括支援センターに所属する保健師・看護師(以下,保健師等)が要介護認定を受けていない虚弱な一人暮らし高齢者に対して行う支援内容(以下、支援内容)を抽出することである. 前年度の成果をもとに質問紙を作成し,3大都市圏の特別区および政令指定都市の委託型地域包括支援センターに所属する保健師を対象に無記名自記式調査を実施した. 735施設に調査票を配布し,147 施設から回答を得た(回答率20.0%).基本属性と関係機関との連携状況との関連を検討した結果,『経験年数』では「3年目以上」,『基礎資格』では「看護師」のほうが多様な関係機関と「連携できている」と認識する者が有意に多かった.また地域包括の4つの業務のうち「介護予防」は主として担当しつつ,「総合相談支援」など他の業務いずれも80%以上が他の職員とし協力して担当していた.記述された事例への支援内容について記述内容を質的帰納的に分析した結果, 348の記述データから57のサブカテゴリ,25のカテゴリが生成された.カテゴリは【体調の安定】を図る支援では『食事の摂り方や薬の管理方法を指導する』など8つ,【生活基盤の安定】を図る支援では『自費の生活支援サービスを紹介し利用につなげる』など6つ,【安全の確保】を図る支援では『緊急時の備えとして利用できるサービスを紹介し利用につなげる』など7つ,【人的ネットワークの維持】を図る支援では『近隣者と本人とをつなぐ橋渡しをする』など4つである.これらの結果より,保健師等が体調や安全の側面を中心に,一人暮らし高齢者の生活を多面的にアセスメントし,直接・間接両面から支援していることが示唆された.以上の結果から,次年度は抽出された支援内容について保健師等に結果をフィードバックしたうえで再度,調査を行い,保健師等が行う一人暮らし高齢者に対する支援内容を明確化していく予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(理由) 当初の計画通り,地域包括支援センターに所属する保健師・看護師の一人暮らし高齢者への支援内容を抽出することができた.
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今後の研究の推進方策 |
(今後の推進方針) 平成27年度は前年度の調査で抽出した内容を大都市部の地域包括支援センターの保健師・看護師(以下,保健師等)にフィードバックしたうえで,それらの内容について実施の有無や保健師等が行う支援としての妥当性を確認し,最終的な支援内容の明確化を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 当初、インタビュー調査を計画していたが,質問紙への記述が濃密でありインタビュー調査を要さなくなったため,その旅費と協力者謝品,データ反訳にかかる費用が剰余した.
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次年度使用額の使用計画 |
(使用計画) 前年度で剰余した予算については、結果をより明確化するため,対象者へのフィードバック付調査の回数を1回増やし2回実施することに使用する予定である.
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