平成26年度に抽出した地域の閉じこもり高齢者(外出頻度が週1回未満又は週2回以下の者)20名のうち,平成27年度中に看護師による訪問型介護予防事業を実施できなかった9名(他2名は実施前に医療受診等で実施できなかった)について,平成28年度に2クール目として実施した。平成27年度と同様の訪問指導内容(運動器機能向上,栄養改善,口腔機能向上,閉じこもり予防の4つのプログラムの組み合わせによる複合プログラム)を実施した。評価は,ペースライン時(平成27年度の1クール目と同時期)・実施前・実施後・6ヵ月の事後評価を行った。また,平成27年度の1クール目の参加者9名に対しては,実施終了後の6ヵ月後の事後評価を平成28年度に実施した。 介入結果は,運動器機能評価として測定した握力,栄養摂取状況を評価したBMIは,実施前と比べ実施後の変化はなかった。その他運動器機能評価(開眼片足立ち,立ち上がり,足指筋力),口腔機能評価(反復唾液嚥下テスト,オーラルディアドコキネシス),ADLに対する自己効力感,外出に対する自己効力感,精神健康状態,主観的健康感,外出頻度については,全体の平均値が実施後において増加した。しかし,実施終了後6ヵ月後は,殆どの評価項目で実施直後に比べ機能低下していたが,ベースライン時の機能は維持していた者が多かった。 閉じこもり予防の訪問型介護予防において,参加者(1クール目・2クール目)への看護師による個別指導は,実施前に比べ実施後は運動機能評価,口腔機能評価,精神的健康状態等への改善効果が得られるが,介入終了6ヵ月後は実施前と同程度の生活機能評価に低下していた。介入終了後も自宅で継続的に自主訓練する必要性が示唆される。
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