労働の現場では,完全週休2日制の導入以降,連続勤務が5日間であることが多いが,先行研究においては,対象者の多くが医療・福祉業従事者であり,調査日数も様々で,また,コントロール群も設定されていない.そのため本研究では,5日間連続夜勤を行う交代制勤務者である製造業の男性従業員94名を対象に,同一人物による夜勤と日勤における日周性疲労及び慢性疲労について調査した. 夜勤による疲労度の実態を把握した上で,日周性疲労の変動を明らかにすることにより注意喚起日の特定が可能になり,慢性疲労に影響する要因を明らかにすることは注意喚起を必要とする勤務者の特定につながると考える. データに欠損がない38名を分析対象とし,夜勤と日勤における日周性疲労の変動を比較すると,全ての日において夜勤の方が疲労していた.また,疲労のピーク日は共に3日目で,ほぼ同じ変動を示した.このことから,本研究対象集団は,社会的な生活習慣である規則的な勤務体制の影響を受け,独自の週内リズムを形成し連続勤務を行っていることが推測された. 慢性疲労が高い者の特徴は,年齢が高く,勤務年数・夜勤従事期間共に長く,平均睡眠時間が短かったことから,仕事への慣れのため日々の疲労に気付いていない可能性があると考えられる.また,もう一つ慢性疲労が高い者の特徴として,日周性疲労の得点が低かったことから、仕事への慣れから日々の疲労に対して無自覚になっており,特に夜勤における疲労に対して無自覚になっていると考えられる. 同一人物で5日間連続する夜勤と日勤における疲労を調査し,全ての日において夜勤の方が疲労していたこと,疲労のピーク日と変動を明らかにしたこと,慢性疲労が高い者の特徴を明らかにした点に意義がある.このことは保健指導のみならず,職場環境改善の目安にもなり,労働災害防止のための注意喚起に活用出来ると考えられる.
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