氷表面観察のための原子間力顕微鏡(AFM)の改良を行った。ペルチェ素子と水冷機構を備えた自作の観察セルをインキュベータ内に入れ、環境温度と水蒸気量を調節してAFMで単結晶氷表面をスキャンすることに成功した。 しかし、疑似液体層(QLLs)は過飽和水蒸気から凝縮するため平衡環境では現れないことが新たにわかった。過飽和水蒸気中で成長する氷表面上のQLLsをAFM観察するのは困難だったため、干渉計と濡れの理論により2種類のQLLsの厚みを推定した。また、塩化水素ガス存在下でなら平衡環境でQLLsが存在することを発見し、そのような環境であればQLLのAFM観察も安定に可能となることが示唆された。
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