研究課題
ポリコーム群複合体PRC2は、発生・分化の過程で決定される遺伝子発現パターンの維持に必要であり、ヒストンH3の27番目のリジンをメチル化 (H3K27me)することで遺伝子発現の抑制を行う。PRC2による発現抑制の代表例には、HOX遺伝子群の制御やX染色体の不活性化が知られているが、PRC2の制御メカニズムの全貌は未だ明らかになっていない。本研究では、これまで全PRC2構成因子をベイトとした免疫沈降による複合体精製と質量分析器によるその解析によって、PRC2構成因子間の相互作用ネットワークを明らかにしてきた。その結果、細胞内には何種類ものPRC2複合体が存在することが明らかとなった。2013年度は、前年度までの知見を発展させるため、以下の研究を行った。(1) 同定したPRC2構成因子に対するモノクローナル抗体の整備を行い、免疫沈降、ウエスタンブロットそれぞれに適した抗体を作製できた。これらを用いて内在性のPRC2複合体の構成を解析し、外来性のPRC2構成因子の発現によって得られた相互作用ネットワークが、内在性のPRC2でも成り立っていることが明らかにできた。(2) PRC2構成因子間の直接的なタンパク質間結合を評価するために、ヒト細胞における過剰発現系、酵母ツーハイブリッド系などを試みた。その結果、昆虫細胞を用いた発現系がもっとも適していることがわかり、PRC2活性コアの精製や、制御因子間の結合を評価できる系を立ち上げることができた。
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