研究課題/領域番号 |
25870016
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
李 美龍 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50581758)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 感性評価 / 主観的重量 / 重量感覚 / 形状特性 / ユーザカテゴリ |
研究概要 |
本課題は、主観的重量感覚と実際の重量との間には差異があることを仮説として、「物体の見た目形状と主観的重量感覚との関連性を定量的に明らかにし,物体の主観的重量感覚を操作する方法を開発する」ことを目的とする。この目的を達成するために計画した2つの課題の中で、今年度には「課題1:物体の見た目形状と主観的重量感覚との関連性」を主に実施した。 具体的には、実験の刺激となる立体を制作するための指標を見出すことが必要であるため、2013年9月から3DCGの画像を用いた受領感覚実験を実施した。 その結果、曲線系の図形と直線系の図形には主観的重量感覚に大きな違いがあることを明らかにした。すなわち、曲線系の図形がより軽く見え、直線系の図形がより重く見えることが定量的に示され、異なるアスペクト比の形状に対しても同じ結果であった。 また、円錐同士の比較については、主観的重量感覚には形状を見る角度が大きく影響していることが分かった。 以上の研究結果は、 2回の国際学会発表(2014年度発表予定)と3回の国内学会発表の成果を上げている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題は大きく2つの課題で構成されており、課題1である「物体の見た目形状と主観的重量感覚との関連性」を明らかにする第一ステップとして、刺激となる立体を制作するための指標を見出すことが必要である。そのため、3DCGの画像を用いた受領感覚実験を実施し、曲線系の図形と直線系の図形には主観的重量感覚に大きな違いがあることを定量的に示した。 しかし、この結果をもとに立体刺激の制作を開始しようとしたが、素材による影響を加味する必要が明らかとなった。そこで研究協力者である北海道大学の工学系技術センターへ協力を仰ぎ、素材によってセンターで制作できる形があることが判明した。さらに購入した3Dプリンターの搬入も予定よりも遅れたため、立体刺激を制作できずにいた。 そのため、本年度は刺激とする立体形状を制作し実験実施までこぎ着けることはできなかったが、制作実行に向けた準備を十分に整えることができた。そのため、来年度の実験実施開始後は迅速に成果を出せる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
現在は単純な形状の立体図形を用いた実験を実施し、データ分析と実験内容をまとめている。一方、複雑な形状の精密な制作に関しては、研究協力者である北海道大学の工学系技術センターとのやり取りを通じて、外部発注も視野に入れて刺激制作を急進させている。 また、2014年6月に搬入予定の3Dプリンターの活用についても、現在データ制作は終了させているため、すぐに制作可能である。これらの刺激モデルが作成できた後、速やかに実験を実施し、研究を推進させる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額が「997,587円」と大きくなった理由は、本課題の遂行において中心となる3Dプリンターの購入金額を変更したためである。申請時に予定していた製品を購入するには予算が不足したため製品変更が必要となった。その際、本申請研究で必要な条件と製品の性能を再検討した結果、近年続々と3Dプリンターの新製品が登場していることもあり、性能および金額の条件に合致する製品を購入できた。しかし、アメリカからの輸入品であるため、納品が2014年06月01日を予定しており、まだ実支出となっていない状況である。 注文した3Dプリンターの納品が2014年06月のため、07月中に約60万円が支出される予定である。また、より多様な形状と材料の実験モデルを作成し、本課題の遂行度を高めるため、レーザー加工機のレンタルもしくは高性能のスチロールカッター機の購入を検討している。これらの機器を導入することで、表面加工や触感等の面でも実験モデルを製品レベルで作成することが可能となり、課題の成果を製品設計に応用しやすくなるため、より高次の成果を上げることが期待できる。
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