研究課題/領域番号 |
25870019
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
黒木 喜美子 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (90553313)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | HLA-G6 / LILR / 電子顕微鏡解析 / 相互作用解析 |
研究概要 |
本申請の目的は、α2ドメインを欠損するにも関わらず、通常型のHLA-G1を補う活性を保持しているHLA-G2(膜型)および-G6(分泌型)についてヒト免疫制御受容体LILR群との分子認識機構を立体構造解析の観点から明らかにすることである。 今年度は、電子顕微鏡解析によるHLA-G6ホモ二量体の全体構造を明らかにすることができた。既に結晶構造解析により詳細な構造が得られているHLA-G1のドメイン構造を当てはめてみたところ、通常のHLA-G1に比べて、30度ほどalpha1とalpha3の配向に開きがあることがわかった。また、その構造は低角ロータリーシャドウ法で撮ったHLA-G6の構造ともよく一致していた。 X線結晶構造解析法によるHLA-G6立体構造解析については、HLA-G6分子構造が電子顕微鏡で得られた構造で観察されたように、ゆるい分子構造を取っている可能性が高いことと一致して、測定に適した結晶が得られなかった。受容体LILRB2との複合体の結晶化も試行しているが、未だよい結晶を得られていない。しかし今後、電子顕微鏡解析で得られた分子構造から受容体との相互作用面の推定が可能であると期待している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで構造情報の得られていなかったHLA-G6の3D構造について、電子顕微鏡解析により初めて明らかにすることができた。今年度の目標は結晶化に適したHLA-G6蛋白質調製法の確立、LILRB2受容体との相互作用解析、電子顕微鏡解析による立体構造解析を挙げていたが、成果として一番重要な3D分子構造を得ることができ、研究としておおむね順調に進展していると考える。解析に適した結晶が得られない原因は、タンパク質の安定性よりも、緩い分子構造を取るためだと考えられるため、現在の調製法によって得られたタンパク質を用いて、今後相互作用解析を詳細に検討し、結合様式の解明とともに、相互作用面の同定が可能であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、得られた3D構造に基づき、受容体LILRB2との相互作用部位を変異体解析により同定すると同時に、受容体との複合体構造を電子顕微鏡解析により解析できるか検討する。変異体作製に関しては、通常のHLA-G1とLILRB2との相互作用部位を参考にしつつ、新たな結合部位が存在する可能性も考え探索する。これまでに、HLA-G6とLILRB2との結合は1:2のAvidity効果を持った強固な結合であることが分かっているため、アルファ3ドメインのLILRB2結合部位は共通である可能性が高いと考えている。 また、LILRB2とHLA-G6間の相互作用について、表面プラスモン共鳴法および等温滴定カロリメーターを用いた熱力学的解析を行い、その相互作用様式を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額について、本年度中に購入、納品済みであり、支払完了後に未使用分は残らない予定である。 次年度使用額について、実際に次年度使用できる金額は残っていない。
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