周囲に不愉快な思いや迷惑をかけていないかの社会不安である対人恐怖傾向の文化差が、社会状況の関係流動性により説明できるかを国際比較調査、国内地域比較調査、プライミング実験により検証した。国際比較調査で、通常の社会不安傾向を統制してもなお、対人恐怖の文化差の一部は、関係流動性により説明された。また、国内地域比較調査においても同様の結果が示され、都市圏よりも非都市圏の方で対人恐怖傾向が強く、その差異は関係流動性によって説明された。以上の知見の因果関係を特定するべく行った実験研究では、一部予測に合致する知見が得られたが、実験状況に則した測度開発・関係流動性操作の強化など、さらなる検証が必要である。
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