研究課題/領域番号 |
25870024
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
市村 恒士 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (00333659)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ライフサイクルCO2 / 低炭素 / 自然共生 / モデル都市 / 評価構造モデル |
研究概要 |
まず,本研究では,自然共生・低炭素型都市の構築に向けてプランナー等が土地利用等の計画・設計の初期段階において活用可能な,都市や街区等を想定した簡易的なLCCO2評価手法を構築することを念頭に,産業連関表方式と個別積み上げ方式を組み合わせた方式を用いた既往研究などを参考しつつ,ライフサイクルCO2(以下,LCCO2)評価手法を構築した。 次に,近隣住区論,国勢調査等をもとに,スケール,計画人口,1人当たりの延べ床面積を考えた都市モデルを想定し,住区計画における各土地利用の適正配置や,近隣住区論等を文献調査し,評価の基準となる都市モデル(以下,基準タイプ)を設定した。また,その土地利用データ等を整理し,基準タイプを踏まえ,自然・緑と活用・共生しながらCO2削減効果が期待できる環境整備を行ったシナリオ(以下,削減シナリオ)を設定し,各々の削減タイプの各土地利用データ等を整理した。実際には,このような自然共生型の都市の環境整備(:削減シナリオ)として,「樹冠被覆地を拡大するシナリオ」,「土地被覆の素材を変更するシナリオ」,「土地利用を変更(想定する人口とそれに対応する延べ床面積等は変化させずに建築物を高層化,また,道路等を削減し発生した余剰地を樹冠被覆地に変更)するシナリオ」,「緑のリサイクルの導入」のシナリオを設定した。 さらに,構築したLCCO2評価手法を都市モデル(基準タイプ及び削減タイプ)に適用し,LCCO2やCO2削減効果等を推定した。実際には,基準タイプ及び削減タイプの土地利用データに原単位を乗じてLCCO2を推定し,基準タイプ及び削減タイプの都市全体のLCCO2,非建ぺい地のLCCO2,及び削減タイプの都市全体のCO2削減効果,非建ぺい地のCO2削減効果等を推定し,自然共生型の都市の環境整備によるCO2削減効果を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね予定通りの状況であるが,都市モデルについての考え方や,そのLCCO2評価分析については,未だ検討の余地がある一方,来年度分に関わる住民の評価構造の解明に関わるアンケート調査について検討は,一部先取りし実施しており,全体としては概ね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
1)低炭素型のモデル都市に対する都市住民の評価の把握:ここでは,設定した都市モデルのイメージ図(あるいは都市モデルを構成する要素やライフスタイル等の項目)を用いて都市住民を対象としたアンケート調査を実施する。 モデル都市に対するアンケート調査は,都市住民に対して行い300件程度のサンプルを得る予定である(WEBアンケートの活用も検討中)。この調査結果に基づき,利用者の都市モデルの環境整備,利便性やその他の機能に対する評価及び総合評価を把握し,総合評価に影響する要因(多変量解析等)について検討する。 2)低炭素型のモデル都市に対する都市住民の評価構造の解明:「1)」で把握された要因をもとに,利用者の評価構造を明らかにすべく共分散構造分析を用いて都市住民の評価構造モデルを構築する。実際には,総合評価に影響すると思われる複数の要因を説明変数として扱い,それらの要因に対する総合評価を目的変数として設定し,各々の要因に関連性も踏まえながら,モデル都市の総合評価に影響する要因の明らかにすることを中心に都市住民の評価構造についての解明を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
想定していた研究補助の人件費・謝金の使用が少なかったが,これは,一部滞りのあった都市モデルのLCCO2評価データ解析補助員の活用時間が今年度は不足したためである。 都市モデルのLCCO2評価については,未だ検討の余地があるため,この部分に対する人件費の使用に加え,今年度実施のアンケート調査は,回答が複雑なため,WEBアンケートの実施にこの人件費を捻出することも検討中である。
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