研究課題/領域番号 |
25870025
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
宮森 保紀 北見工業大学, 工学部, 准教授 (00363383)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 維持管理工学 / センサーネットワーク / 構造ヘルスモニタリング |
研究概要 |
本研究は、橋の振動データに基づいて損傷や劣化の程度や位置を同定する構造ヘルスモニタリングに関するものである。本年度は、振動形状の微小な変化を検出することで健全性診断に活用するアルゴリズムについて、実験模型や実際の歩道橋を対象として検討を行った。 申請者らがこれまでに開発した局部加振法について、伝達関数の視点から整理して手法の改良を行った。この方法は構造物の振動形状が損傷によって変化する様子を検出するものである。構造物は、加振方法や振動させる周波数によって、さまざまな振動形(振動モード)が発生し得る。このため、周波数帯域全体での振動形を表す実稼働モード形(Operational Mode Shape)の考え方を用いる。構造物を振動させるための加振点についても、加振位置によっては発生させることができる振動形とできない振動形がある。このため、本研究ではこれまで特定の位置に固定していた加振点を移動させるようにする。多自由度系の伝達関数マトリクスHmn(s)に対応させて考えた場合、これまでは実験的に加振位置が限定されたため、入力nが1点のみになっていた。加振装置の可動化によりnを離散的な複数点で求めることになる。また、出力mについては、スマートセンサーによる観測点の高密度化が行われることになる。これによって構造物の振動特性全体の変化を捉えることができ、構造健全度診断のための汎用的な手法になることが期待できる。 本年度は、実験室規模の解析モデルと実験供試体を作成し、解析モデルについては固有振動解析を実施し、モード振幅の積算から損傷指標を求め、それを実験により再現して損傷検出の精度を検討した。また、実際に損傷を受けた橋梁を対象として、実構造物のデータを取得するとともに、詳細な解析モデルを構築して比較検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
損傷同定アルゴリズムの改良については、計画通り進捗しているが、装置の小型化、ソフトウェアのシステム化については、計画より遅れている。一方、計画には含まれなかった使用中の橋梁による実験が開始できたため、この点では計画以上の進捗となっている。 以上より、おおむね順調に進展していると自己点検した。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定通り、研究を進捗させる。 損傷同定アルゴリズムと加振・振動測定装置については、実験供試体から小規模橋梁に対象を変更して、アルゴリズムと装置の改良を進める。 また、損傷した実橋梁に関する実験については、道路管理者との密接なコミュニケーションに基づき、実データの収集を行い損傷同定を試みる。
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