研究概要 |
助成前から既にA) Herpes simplex virus(HSV)感染がcyclooxygenase(COX)-2の発現誘導する。B)Indomethacin(IMT)などCOX-2阻害剤がHSV増幅を抑制する。C) IMTのHSV抑制効果はCOX-2で誘導されるProstaglandin E2(PGE2)共投与で打ち消される。という結果を得ていた。平成24年度はこれらの知見に追加解析を加えた。 1)他の細胞種における再現性の確認:単球系前駆細胞であるTHP-1, とVero細胞で上記の現象に再現性があるかを検証し,広い細胞種で再現性が確認出来る現象である事が判った。 2)COX-2で誘導されるプロスタノイドとその受容体サブタイプに関する解析:COX-2により誘導されるプロスタノイドにはPGE2の他にProstaglandin I2 (PGI2)がある。そこでHSV増幅とPGI2の関連性を解析した。PGI2アナログであるBeraprost(BPT)をIMTと共投与したところ,PGE2と同様に,あるいはより効率的にHSV抑制効果を打ち消した。PGE2(0.1,1,10μM)とBPT(0.01,0.1,1μM)の共投与を解析し,相加作用を確認した。 3)COX-2阻害剤とアシクロビル(acyclovir:ACV)のHSV-IE遺伝子発現,NF-kB活性に及ぼす影響の検討:3-a)HSV遺伝子のうちImmediate Early (IE)に属するICP0に対する定量的PCRで,mRNA発現量の変化と,18時間後のDNA量(コピー数)に関し, IMT 5μMとACV0.1μg/mlの間で比較検討した。結果,i)ICP0mRNAの発現はIMTの方がよく抑制するii)しかし最終的なHSVコピー数はACVの方がよく抑制する,という結果を得た。IMTはHSV蛋白のエンハンサー作用を持つHSV-IEの発現を抑制し,これら2剤が異なる作用機序を持つ事が判った。3-b)NF-kB活性化の抑制:デュアルルシフェラーゼアッセイでNFkB活性をHSV感染下にIMT 5μMとACV0.1μg/mlを加え解析した。結果,IMTのみで用量依存的なに抑制効果を見た。
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