本研究課題は,睡眠と身体活動(運動,日常生活活動量)に着目し,地域住民と対象とした運動習慣改善を意図した6ヶ月の運動介入プロジェクトを実施し,その効果を判定することを目的とする.特に調査地域の地域特性や生活習慣に焦点を当て,地域住民の健康保持増進への貢献を目指す.なお,本研究課題は,弘前市および弘前大学医学部(社会医学講座)による共同プロジェクト(岩木健康増進プロジェクト)と連携のもとに実施した.本研究は①プロジェクト健診(成人健診),②運動介入プロジェクトにより構成される. 平成28年度はこの目的に従って,①については,5,6月のプロジェクト健診により,データの追加を行い,平成25~27年度のデータと合わせ解析を行った.②においては,組織体制の変更等から,実施体制およびデータ解析方法を変更し,運動介入プロジェクトの参加者についてはプロジェクト健診時に運動介入プロジェクト参加および継続の有無を確認し,プロジェクト健診時のデータを活用して解析を行った.結果,運動介入プロジェクトに参加した群では,参加しない群を比較して,運動習慣のある者の割合の増加および定期的な運動習慣の獲得を認めた.一方で,運動介入プロジェクト終了後においては,プロジェクト中よりも運動頻度の低下を認めた.また,睡眠状況と運動習慣,血液生化学検査の結果との関連は認めなかった.食事摂取状況において,運動介入プロジェクト参加,非参加に関わらず,全体的に摂取カロリーが多い傾向を認めた.これについて,産業として一次産業が多く,冬場の仕事量の影響や,プロジェクト健診実施時期の影響の可能性が示唆された.これより,産業を含めた地域特性を加味した取り組みの必要性が示された.
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