本研究は3か年計画の最終年度であった。アクションリサーチ、並びに参与観察、当事者からのヒアリング調査を中心に取り組んだ。調査対象は、弘前大学の学生で構成されている「らぶちる-LOVE for Children」、久慈市中央公民館「ヤングボランティアSEED」七戸町ジュニアリーダーズクラブ、八戸市「はちのへ未来ネット」の活動である。 調査とその解析から、注目する点として、彼らは知識や技術といった「スキル」だけでなく、目的や意義、人と関わる際の姿勢といった「マインド」を重視し、自覚的に先輩から「受け継ぐ」、後輩へ「託す」という相互的活動を意図的に行っていることがわかった。 すなわち、①青少年は、地域活動を通して、地域社会を形成する主体としての意識が形成されるとともに、市民性の涵養につながる相互学習を意識的に行っているということが確認された。そして、②青少年の活動を支える成人指導者や社会教育関係職員は、彼らの営みを「尊重し、見守る」手法を用いている点が共通してみられた。 そのほか、「遊び」「憧れ」「成長」が参加動機としての共通ワードであることと、活動を通して価値観の拡大やキャリア形成などの自己形成にも影響していることも確認された。とりわけ、中高校生たちからは、小学校の高学年の時期にキャンプや子ども会活動その他遊びの機会において、中高校生と触れ合うなかで『憧れ』を抱くようになり、自らの意思で地域活動に参加していることが共通していた。 このことから、どのようにして彼ら自身が目的意識を持って地域社会に参加していくことの意義を明らかにすることができた。そして、社会教育行政をはじめ大人の側は、参加機会の提供だけでなく、彼らの自身が活動を通して得られる学びを自覚化し、より主体的な地域社会への参画に発展していけるような学習環境の醸成が重要であることをも明らかにすることができた。
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