有機π共役系低分子と貴金属表面の接触界面において特異に現れる界面電荷移動(CT)準位の形成機構を明らかにするため、放射光角度分解光電子分光法を用いた界面電子構造の研究を行った。試料には主にペリレン系誘導体分子のジインデノペリレンDIP(C32H16)とCu(111)、Ag(111)単結晶基板を用いて、超高真空中で調整した試料の界面準位の有無を確認するとともに、界面準位が形成されるための条件として分子の化学構造式や膜中の分子配向、基板の結晶面や結晶状態を検討した。その結果、CT準位の形成は吸着分子の化学構造式に起因しており、その他の上記の因子には寄らないことを示唆する結果を得た。
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