研究課題/領域番号 |
25870039
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
森 優 東北大学, 大学病院, 助教 (70634541)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 骨折修復機構 / 間葉系幹細胞 / Dickkopf3 / 血管新生 |
研究概要 |
Dkk3-eGFP, Col3.6GFPcyan, SMAA-RFPchryの3種類のGFPリポーターマウスを交配しtriple colorマウスを作製した。骨折後3日では増殖したSMAA陽性細胞においてDkk3あるいはCol3.6の共発現が認められた。骨折後5日では、Col3.6陽性細胞が仮骨基底部で骨形成を開始している一方で、Dkk3は骨膜と仮骨表層の紡錘細胞に発現を認めた。骨折後7日では仮骨内は軟骨性組織が主要な部分を占めていたが、Dkk3は仮骨表層の細胞とCol3.6の発現がない線維軟骨細胞に強い発現を呈していた。骨折後14日以降では軟骨組織は吸収され、Dkk3は新生骨の骨膜にのみ発現を認めた。骨折後21日、28日では骨膜上に定常状態としての発現を認めた。Dkk3は骨折仮骨内の線維軟骨細胞に発現し、骨折修復反応に関連していた。Dkk3は骨膜上に存在する骨・軟骨細胞に分化しうる間葉系幹細胞の分化マーカーの可能性が考えられた。骨折部の血管新生の評価としてtype IV collagenの免疫染色を行った。血管新生はDkk3が表層に強く発現する軟骨組織のコアの領域には発現を認めなかった。このことから、Dkk3が単に幼弱な軟骨性化骨のマーカーであるだけでなく、血管侵入調節因子の発現に関与する可能性が示唆された。今後はDkk3の血管新生の調節など生理的機能を、種々の血管新生調節因子との共発現の可能性を免疫染色などを用いて解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Dkk3の骨折修復課程における発現時期、局在に関しての解析は完了しており、おおむね順調に研究は進行している。
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今後の研究の推進方策 |
Dkk3の生理的な機能についてはまだ未解明な部分が多く、今後は骨組織修復課程における血管新生の調節機構に関して、既知の因子との共発現などを解析することで、機能的役割を明らかにしていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品の購入にあたり少額の残額を生じてしまった。 研究に用いる備品の購入に充てる予定である。
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